日本大百科全書(ニッポニカ) 「グッタペルカ」の意味・わかりやすい解説
グッタペルカ
ぐったぺるか
gutta-percha
マレーシア原産のアカテツ科パラキウム属の植物(学名:Palaquium gutta)の樹液が固まった天然樹脂で、ガタパーチャともいう。主成分はトランス-1,4-ポリイソプレンであり、天然ゴムの幾何異性体である。
天然ゴムに比較して分子量が10分の1以下で、分子間力が大きく、白~赤褐色の硬い固体である。50℃以上に加熱すると軟らかく可塑性を示す。ベンゼンやクロロホルムに可溶で、濃硝酸と濃硫酸に侵されるが、その他の酸やアルカリには安定である。電気絶縁性が高く、19世紀後半から海底電線の被覆に用いられたが、20世紀後半にポリエチレンで置き換えられている。ゴルフボール外皮や歯科医療充填(じゅうてん)剤の用途があり、かつてカメラのボディの貼皮に使われた。
[福田和吉]