マコーレー(英語表記)Thomas Babington Macaulay

デジタル大辞泉 「マコーレー」の意味・読み・例文・類語

マコーレー(Thomas Babington Macaulay)

[1800~1859]英国の政治家歴史家ホイッグ党下院議員、のち、インド最高会議議員。インドの法制改革に尽力した。著「英国史」など。マコーリー

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精選版 日本国語大辞典 「マコーレー」の意味・読み・例文・類語

マコーレー

  1. ( Thomas Babington Macaulay トーマス=バビントン━ ) イギリスの政治家、歴史家。植民地インドの法改革に尽力。その著「英国史」は明治中期に日本で愛読された。(一八〇〇‐五九

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改訂新版 世界大百科事典 「マコーレー」の意味・わかりやすい解説

マコーレー
Thomas Babington Macaulay
生没年:1800-59

イギリスの歴史家,政治家。父親は熱心な奴隷廃止論者。ケンブリッジ大学卒業し,1826年弁護士となったが,前年ホイッグ系の《エジンバラ・レビュー》に発表した〈ミルトン論〉で文筆的名声を博し,以後20年間同誌に歴史,文芸,時事問題に関する評論を寄稿した。30年以降ホイッグ党所属の下院議員となり,自由主義的改革の雄弁で頭角を現し,34年インド総督参事会の立法委員としてインドに赴き,教育改革,刑法典の作成に尽力した。帰国後は陸相(1839-41),主計総監(1846-47)を務めたが,47年の総選挙に落選し,かねてから構想を練っていたイギリス史の叙述に専念した。翌年《イギリス史》全5巻(1848-61)の最初の2巻を刊行。当初は自分の同時代まで及ぶ構想であったが,中途で病没したため,本書は事実上〈名誉革命史〉である。イギリスの国家的発展の連続性を賛美し,議会と名誉革命の進歩的役割を強調したこの歴史叙述は,党派的偏向にもかかわらず,平易な文体と明解な説明のゆえに広く歓迎され,さらにその〈ホイッグ〉史観がイギリスの正統的な歴史解釈として定着する原因をつくった。なお彼の評論と《イギリス史》は明治時代の日本でも多数愛読者を見いだした。
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百科事典マイペディア 「マコーレー」の意味・わかりやすい解説

マコーレー

英国の歴史家,政治家。父親は熱心な奴隷廃止論者。ケンブリッジ大学卒業後弁護士となる。1825年ホイッグ系の雑誌《エディンバラ・レビュー》誌に発表した〈ミルトン論〉で名声を博し,以後同誌に歴史・時事問題・文芸に関する評論を寄せる。1830年下院議員となり,議会改革,植民地問題などに関する自由主義的な弁論で頭角を現した。1834年インド総督参事会の立法委員として,インドにおいて法制整備,教育改革などに尽力。帰国後は陸相(1839年−1841年),主計総監(1846年−1847年)などに任じられた。1847年の総選挙で落選した後は,かねてからの念願であった《イギリス史》(全5巻,1848年−1861年)の執筆に没頭し,翌年その最初の2巻を刊行。構想では自分の同時代にまで及ぶ予定であったが,業なかばにして病没したため,本書は事実上は〈名誉革命史〉に終わった。しかし英国の国制の連続的な発展を讃え,議会と名誉革命の果たした進歩的な性格を強調したその歴史叙述は,明解な文体のゆえに熱烈な歓迎をうけ,〈ホイッグ〉史観として英国の正統的な歴史解釈の地位を獲得した。
→関連項目ベンティンク

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マコーレー」の意味・わかりやすい解説

マコーレー(1st Baron Macaulay, Thomas Babington Macaulay)
まこーれー
1st Baron Macaulay, Thomas Babington Macaulay
(1800―1859)

イギリスの歴史家、政治家。奴隷制廃止運動を行った人道主義的改革派のザカリー・マコーレーZachary Macaulay(1768―1838)の長男として生まれ、ケンブリッジ大学に学ぶ。1826年『エジンバラ・レビュー』誌にミルトン論を発表して以後、多数の評論を執筆。その間1830年にホイッグ党所属の下院議員となり、1834年から1838年にかけてはインドで西洋式教育制度の導入や刑法典の起草に尽力した。帰国後メルバーン内閣の陸相も務めたが、このころから『イギリス史』(全五巻)の執筆を始め、1848年に第1、2巻を発表して大成功を博した。イギリス史の流れを自由の着実な前進過程として描く彼の歴史観は「ホイッグ史観」とよばれ、イギリス史の見方に大きな影響を与えた。1857年、男爵位を与えられた。

青木 康]


マコーレー(Dame Rose Macaulay)
まこーれー
Dame Rose Macaulay
(1881―1958)

イギリスの女流小説家。幼児期イタリアで過ごし、オックスフォード大学を卒業。キリスト教的視点からする知的、風刺的な作品を書く。代表作トレビゾンドの塔』(1956)は喜劇的な小説で、一見トルコでの冒険談のようにみえるが、著者の生涯を通じての関心事、信仰、旅行、愛、人間関係を探ったもの。一時「ブルームズベリー・グループ」に属した。ほかに『E・M・フォースター論』(1938)や三冊の詩集がある。

[小野寺健]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マコーレー」の意味・わかりやすい解説

マコーレー
Macaulay, Thomas Babington

[生]1800.10.25. レスターシャー,ロスリーテンプル
[没]1859.12.28. ロンドン
イギリスの歴史家,政治家。ケンブリッジ大学に学ぶ。名誉革命を中心主題とした『イギリス史』 History of England (5巻,1848~61) の著者として知られる。ホイッグ党を支持し,自由主義史観の立場から,ウィリアム3世を希代の名君とたたえている。ほかに『ミルトン論』 Milton (1825) ,古代ローマ民謡復元の試みである『古代ローマの歌』 Lays of Ancient Rome (1842) ,『評論集』 Essays (1843) などがある。他方,国会議員となり,インド総督顧問,陸軍大臣などの要職についた。

マコーレー
Macaulay, Dame Rose

[生]1881.8.1. ラグビー
[没]1958.10.30. ロンドン
イギリスの女流作家。オックスフォード大学に学ぶ。若い頃イタリアを旅行,その体験が処女作『谷間の捕虜』 The Valley Captive (1911) となった。『白痴の話』 Told by an Idiot (23) などにみられる中流階級の風刺がその本領である。

マコーレー
Macaulay, Zachary

[生]1768
[没]1838
イギリスの博愛主義者,奴隷制廃止運動家。 1793~99年シエラレオネのイギリス植民地総督。福音主義信仰者で,イギリスの奴隷貿易廃止を主張,機関紙の編集や反奴隷制協会の設立に尽力した。 T.B.マコーレーの父。

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旺文社世界史事典 三訂版 「マコーレー」の解説

マコーレー
Thomas Babington Macaulay

1800〜59
イギリスの歴史家・政治家
ケンブリッジ大学に学び,自由党の政治家として活躍。『イギリス史』(1848〜61)は名文で史学史上の古典。

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世界大百科事典(旧版)内のマコーレーの言及

【第四階級】より

…第四権力ともいい,今日では広くマス・メディア一般を指す。E.バークまたはマコーレーThomas B.Macaulay(1800‐59)の言葉といわれ,新聞がその社会的影響力の増大により,貴族,僧職,市民の3階級につぐ第4の社会的勢力になったことを意味した。現在では,司法,立法,行政の三権に対する第4の権力と理解し,三権に対する監視役としての期待と,その強大な権力の乱用に対する批判の,両方の意味をこめて用いられる。…

【第四階級】より

…第四権力ともいい,今日では広くマス・メディア一般を指す。E.バークまたはマコーレーThomas B.Macaulay(1800‐59)の言葉といわれ,新聞がその社会的影響力の増大により,貴族,僧職,市民の3階級につぐ第4の社会的勢力になったことを意味した。現在では,司法,立法,行政の三権に対する第4の権力と理解し,三権に対する監視役としての期待と,その強大な権力の乱用に対する批判の,両方の意味をこめて用いられる。…

【ピューリタン革命】より

…しかし18世紀後半以降,急進主義の運動が展開すると,17世紀史に対する再評価の気運が生まれ,当面の課題であった議会改革の先駆としてのこの闘争のもつ意義が見直されて,これまでの〈反乱〉に代わって〈内乱〉と呼ぶ傾向が強くなった。立憲君主制の成立という視点からすれば,のちの〈名誉革命〉のほうに高い評価が与えられたものの,17世紀以降のイギリスの順調な発展をヨーロッパ諸国と対比させて肯定的にとらえる見方は,19世紀中葉にT.B.マコーレーによって〈ホイッグ史観〉として定式化され,それが長らくイギリスにおける正統史観としての座を占めた。そしてこの史観の副産物として,〈内乱〉におけるピューリタンの貢献をたたえる〈ピューリタン革命〉という呼称も広く使われるようになった。…

※「マコーレー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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