ナノテクノロジー(読み)なのてくのろじー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナノテクノロジー」の意味・わかりやすい解説

ナノテクノロジー
なのてくのろじー

ナノメートルnm)、つまり10億分の1メートルの寸法単位で加工・製作するための技術。これ以下の原子寸法でのアトムテクノロジーと区別することも多い。半導体メモリーで、1センチメートル角に数十億個のセルを集積するのが現在のサブミクロン(1マイクロメートル~100ナノメートル)技術の限界とされているため、1~100ナノメートルの加工寸法によるナノテクノロジーは新しい技術領域を開拓するものと期待されている。すでに、ゲート幅40ナノメートルのMOSFET(metal-oxide-semiconductor field effect transistor、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)が試作されているが、ソース・ドレーンの拡散層は10ナノメートルの極浅で、酸化膜の厚さは1.5ナノメートルと薄い。青・緑発光のレーザーにはナノテクノロジーによる量子井戸が用いられる。

 サブミクロン技術では、光が加工工程での主役であるが、ナノテクノロジーになると電子ビームとか集束イオンビームが、1ナノメートル以下のアトムテクノロジーでは走査プローブ顕微鏡が主役となる。単にマイクロマシンの延長線上でなく、まったく新しい原理、たとえば生物筋肉伸縮鞭毛(べんもう)モーターなどの運動機構・分子構造を利用するなど、ナノバイオロジーの方向も模索されている。

[岩田倫典]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナノテクノロジー」の意味・わかりやすい解説

ナノテクノロジー
nanotechnology

ナノは 10億分の1を意味する言葉で,ナノテクノロジーは,極小な物質単位を相手にした,機械的な技術の総称。マイクロ・マシンなどの分野,および分子レベルでのモータや,回転系のマシンなども考えられている。レーザー,走査型トンネル顕微鏡 (STM) ,原子間力顕微鏡 (AFM) などの精密機器が,観測操作の両方に活用され始めており,今後の展開が期待されている。

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