改訂新版 世界大百科事典 「マスノスケ」の意味・わかりやすい解説
マスノスケ (鱒之介)
chinook salmon
king salmon
Oncorhynchus tshawytscha
サケ目サケ科の魚。キングサーモンともいう。サケ属中でもっとも大型になる。アジア側では日本海以北からオホーツク海へ,アメリカ大陸側ではアラスカから南カリフォルニアまで,北太平洋一帯に広く分布する。日本近海に来遊するものは少なく,北海道の天塩川など一部の河川にのみまれに遡上(そじよう)する。体色は銀白色で,体の背部,背びれ,尾びれに黒点が散在する。産卵期は,北太平洋沿岸ではふつう2~3月に河川へ遡上し,河口からはるか上流に至り,8~10月のころ産卵する。アラスカのユーコン川では遡上距離は2000マイルに及ぶ。日本では明治初年に三面川に移殖の記録があり,その後1959年から天塩川,余市川,十勝川へ移殖が試みられている。雌は6~7年,雄は2~3年で成熟し,全長2mに達するものもある。サケ属の中ではもっとも漁獲が少なく,冷凍,冷蔵品として市販される。肉質は脂肪分に富み美味で,塩焼き,フライなどにする。
執筆者:松下 克己
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報