マハゼ(読み)まはぜ(英語表記)common blackish goby

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マハゼ」の意味・わかりやすい解説

マハゼ
まはぜ / 真沙魚
common blackish goby
[学] Acanthogobius flavimanus

硬骨魚綱スズキ目ハゼ科に属する魚。日本産ハゼ類中でもっとも漁獲量が多く、大衆の釣り魚として親しまれている。全長30センチメートルに達する。青森県から九州南部までの日本、朝鮮半島、中国、北アメリカのカリフォルニアオーストラリアシドニーに産する。内湾の河口域で、単独で底生生活を送る。食性はゴカイ類、小形の二枚貝などの小動物を主とした雑食。1~5月に産卵する。内湾の浅所の砂泥底中にトンネル状の巣をつくり、その壁に卵塊を産み付ける。雄親魚が卵を守る。仔魚(しぎょ)は孵化(ふか)後1か月余り内湾で浮遊生活を送ったのち、1.5センチメートル余りの稚魚に成長して底生生活に入る。春に孵化した仔魚は、秋には十数センチメートルの大きさに成長する。生後1年で成熟し、寿命は2年以上。

[道津喜衛]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マハゼ」の意味・わかりやすい解説

マハゼ
Acanthogobius flavimanus

スズキ目ハゼ科の魚。全長 25cmに達する。体は円筒形に近く,後方が側扁する。左右腹鰭吸盤をつくっている。体側は櫛鱗後頭部と頬部と鰓蓋円鱗でおおわれる。内湾,河口などの砂泥底にすみ,ときに淡水域にもすむ。産卵期は2~3月。日本各地に分布し,ごく一般的な釣魚として人気がある。

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世界大百科事典(旧版)内のマハゼの言及

【ハゼ(沙魚)】より

…その種数の大きなことから,その形態,生態ともに多岐にわたる。 生息域についても,一生を淡水域だけにすむもの(ドンコ(イラスト),カワヨシノボリ),成長するに従って淡水域と海水域を往来するもの(ヨシノボリ(イラスト),ウキゴリ(イラスト)),河口近くの汽水域にすむもの(マハゼ(イラスト),シロウオ(イラスト)),沖合の比較的深いところにすむもの(リュウグウハゼ,ヤミハゼ)などがある。 生活形態も,砂泥底上にすむもの(マハゼ),岩礁域にすむもの(キヌバリ(イラスト),イソハゼ,クモハゼ(イラスト)),浮遊生活を送るもの(シロウオ,チャガラ),海底に穴を掘ってその中で生活するもの(ワラスボ),干潟の上を徘徊する水陸両生生活をするもの(トビハゼムツゴロウ(イラスト)),淡水の地下水域にすむもの(ドウケツミミズハゼ)などがある。…

※「マハゼ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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