マンガン酸カリウム(読み)マンガンさんカリウム(その他表記)potassium manganate

改訂新版 世界大百科事典 「マンガン酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

マンガン酸カリウム (マンガンさんカリウム)
potassium manganate

化学式K2MnO4。酸化数Ⅵのマンガンオキソ酸であるマンガン酸H2MnO4(得られていない)のカリウム塩。暗緑色斜方晶系結晶。比重5.18。500℃以上に熱すると酸素を放ってK2MnO3になる。酸性中性あるいは弱アルカリ水溶液中では不均化し,酸化マンガン赤色過マンガン酸カリウムになる(カメレオン水)。

 3MnO42⁻+4H⁺─→2MnO4⁻+MnO2+2H2O

 工業的には,パイロルース鉱にKOHを加え,空気を通じながら加熱融解してつくる。

 2MnO2+4KOH+O2─→2K2MnO4+2H2O

実験室でつくるには,空気のかわりにKNO3などを酸化剤として用いるか,あるいはKOH溶液にKMnO4溶液を加え,液が緑色になるまで加熱し,冷却する。

 4KMnO4+4KOH─→4K2MnO4+2H2O+O2

KMnO4製造の原料および酸化剤として用いられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マンガン酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

マンガン酸カリウム
まんがんさんかりうむ
potassium manganate

マンガン酸塩の一つ。マンガン(Ⅵ)酸カリウムともいう。化学式K2MnO4、式量197.1。二酸化マンガンを水酸化カリウム、硝酸カリウムとともに融解して冷水で抽出するか、水酸化カリウム水溶液に過マンガン酸カリウムを加え、緑色になるまで加熱してから冷却すると、暗緑色の結晶(斜方晶系)として得られる。比重2.778。2M水酸化カリウム水溶液には、22.478g/100g(20℃)溶ける。500℃以上に熱すると酸素を放ってK2MnO3となる。水または酸により二酸化マンガンと過マンガン酸カリウムに分解し、溶液の色が緑色から赤紫色に変わる。これに過剰のアルカリを加えるとふたたび緑色となる。このためマンガン(Ⅵ)酸カリウムの水溶液をカメレオン液ということがある。

[守永健一・中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「マンガン酸カリウム」の解説

マンガン(Ⅵ)酸カリウム
マンガンサンカリウム
potassium manganate(Ⅵ)

K2MnO4(197.13).二酸化マンガンと水酸化カリウムとを混合溶融し,空気または硝酸カリウムで酸化するか,または濃い過マンガン酸カリウム水溶液に水酸化カリウムを加えて氷冷すると得られる.暗緑色の斜方晶系結晶.正四面体型のMnO4が存在する.Mn-O約1.65~1.67 Å.∠O-Mn-O約108~111°.500 ℃ で O2 を放ち,K2MnO3になる.水に可溶.濃KOH水溶液中では安定であるが,中性および酸性では不均化してMnO2とKMnO4になる.強力な酸化剤.HClと反応して Cl2 を発生する.漂白剤,酸化剤,消毒剤ウールの染色媒染剤,写真や印刷などに用いられる.[CAS 10294-64-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マンガン酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

マンガン酸カリウム
マンガンさんカリウム
potassium manganate

化学式 K2MnO4 。暗緑色の結晶。 500℃以上で分解し,亜マンガン酸カリウム K2MnO3 となる。水およびアルカリ溶液に可溶。酸化剤であり,塩酸と反応すると塩素を発生する。

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