ミイラ取りがミイラになる(読み)ミイラトリガミイラニナル

デジタル大辞泉 の解説

ミイラ取とりがミイラになる

人を捜しに行った者がそのまま帰ってこないで、捜される立場になってしまう。また、人を説得に行った者が、かえって説得され、先方と同意見になってしまう。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ことわざを知る辞典 の解説

ミイラ取りがミイラになる

ミイラを取りに行った者が、目的を果たせずに命を失い、自分がミイラになってしまう。人を連れもどしに行った者が先方にとどまって戻らないことや、意見しようとした者が反対に説得されてしまうことなど、はじめは相手に働きかけようと出かけた者が、逆に相手にとりこまれてしまうことのたとえ。

[使用例] オルグするつもりで出向いていってミイラとりがミイラになったケースは少なくなかった[高橋和巳*白く塗りたる墓|1970]

[使用例] 湯殿詣りの客はみな帰りは寺さ泊まって、酒だ、バクチだなんでろ。ミイラとりがミイラになるてあんばいで、おらた(おらたち)も手を出しての。肥るのは寺ばかしで、みな山も、林も、畠もとられてしもうたもんだ[森敦*月山|1974]

[解説] 「ミイラ」(漢字で木乃伊と書いた)は、死後も腐敗しないで原形を保っている屍しかばねですが、江戸時代には、万病に効くとされた高価な輸入薬の名称にも使われました。この薬の原料が砂漠のミイラであるという風聞(実際は、ミイラを作る没もつ薬やくの成分がごく少量入っていたという)から、ミイラを取りにいった者が砂漠で遭難して自分がミイラになるという話がまことしやかに流布することになりました。江戸中期には、この話から生まれた表現を比喩的に使うことで、このことわざが成立したものでしょう。
 「ミイラ」は外来語で、ポルトガル語のmirra (没薬)が語源とされますが、ことわざのほうは、ヨーロッパや中東に類例が見当たらず、日本独自のものとみられます。

〔英語〕Many go out for wool and come home shorn.(羊毛を刈りに行って刈られて帰るもの多し)

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