月山(読み)ガッサン

デジタル大辞泉 「月山」の意味・読み・例文・類語

がっ‐さん〔グワツ‐〕【月山】

山形県中部にある火山。標高1984メートル。山頂東斜面は夏も雪が残る。頂上に月山神社がある。湯殿山羽黒山とともに出羽でわ三山の一。
森敦の小説。昭和48年(1973)発表。同年、第70回芥川賞受賞。月山のふもとにある寺で一冬を過ごすこととなった主人公の思索小説。

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精選版 日本国語大辞典 「月山」の意味・読み・例文・類語

がっ‐さんグヮッ‥【月山】

  1. 山形県中央部にある楯状火山。湯殿山、羽黒山とともに出羽三山と呼ばれ、古くから修験道の道場として有名。頂上に月山神社がある。磐梯朝日国立公園の一部。標高一九八四メートル。臥牛山。犂牛山(くろうしやま)

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日本歴史地名大系 「月山」の解説

月山
がつさん

標高一九七九・五メートル。山頂は東田川郡羽黒町・立川たちかわ町、西村山郡西川にしかわ町との境界をなし、山域は前出三町のほか東田川郡朝日あさひ村・最上郡大蔵おおくら村などに及ぶ。臥牛がぎゆう山・犂牛くろうし山とも称した。南西の湯殿山は支峰。当山は標高約一〇〇〇メートルを超す花崗岩の第三紀層の基盤上に噴出した安山岩質の溶岩からなり、従来はアスピーテ型の典型的火山と称されていたが、今はコニーデ型に近い火山であるとみられている。山頂一帯は広い緩斜面で、頂上に近い立川町立谷沢たちやざわには月山神社(本殿、社務所は羽黒町の出羽三山神社)があり、月読命を祀る。山頂北方の一段低い緩斜面(標高約一四六〇メートル)弥陀みだヶ原とよばれ、湿原の中にいろは四八池と称される小池沼が点在する。


月山
がつさん

飯梨いいなし(富田川)の右岸、富田の塩谷とだのしおたに集落の北にそびえる独立峰で、標高一八三・八メートル。もと勝日かつひ山ともいい、富田月山の称もあった。「出雲国風土記意宇おう郡条にみえる加豆比乃高かつひのたか社・加豆比乃かつひの社が鎮座する山で、頂上に奥宮(加豆比乃高社)、麓の御殿平ごてんだいら辺りに里宮(加豆比乃社)があったが、一山に富田城が築かれるにあたり加豆比乃社は移転させられたという。築城時期は源平争乱期と伝えるが確かではない。承久の乱後、月山を含む富田庄の地頭職は佐々木泰清に与えられ、その職を継いだ佐々木四郎義泰の系統はやがて富田氏を名乗った。


月山
がつさん

とまりの北西にあり標高四一九・二メートル。江戸期はとまり山または貴宝きほう山とも呼称した。「北奥路程記」に「此辺数山重りたる入山に亀宝山と云ふて諸人参詣の神山あり」と記され、月山への参詣が知られる。「新撰陸奥国誌」に「麓まて四丁、高一里二十町余。南は出戸村の棚沢山に達り、北は白糠山に継き西は横浜村の山に連る。

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改訂新版 世界大百科事典 「月山」の意味・わかりやすい解説

月山 (がっさん)

山形県中央部にある火山。羽黒山湯殿山とともに出羽三山と呼ばれる。標高1984m。丸くゆるやかな山頂付近の地形から楯状火山と思われてきたが,安山岩質の溶岩などからなる成層火山であり,火山体山頂部が爆発によって欠損し,北西面に向いた馬蹄形の爆裂火口を見せている。したがって庄内平野側からはこの爆裂火口の急斜面が黒くそびえて見えるため犂牛(くろうし)山の別名がある。噴出した山頂の溶岩円頂丘が冷えないうちに次の活動で吹き飛んだらしく,その火砕流が北西麓に広い小起伏のすそ野面を作っている。残った東側のゆるい火山体は氷期に氷帽氷河をのせていたようで,なだらかな氷食面をもち,圏谷地形,U字谷地形,底堆石層を残している。この氷河地形のなごりの谷柵地形は現在の大量の降雪によって最深30m以上の積雪深をもつ吹きだまりを作り,数ヵ所に越年雪を生じさせている。こうした環境がミネハリイ,ヒナザクラ,イワイチョウなどの雪田植物群落や強風下の稜線にみられるコタヌキラン,ホソバエイランタイ,ミネズオウ,ヒナウスユキソウ,コメバツガザクラなどの高山植物群落を形成させ,日本海に浮かぶ佐渡島や鳥海山,朝日岳,蔵王山などの展望とともに優れた高山景観となっている。《日本三代実録》や《延喜式》には式内大社として従二位の月山神社が記載され,鎌倉時代に入ると修験道の中心地の一つとなって,東日本の各地から登山参拝の客を集めた。現在は鶴岡より北側の八合目,山形からは南側の姥沢までバスが通じている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「月山」の意味・わかりやすい解説

月山
がっさん

山形県中部にある火山で,国指定天然記念物。別称犂牛山 (くろうしやま) 。標高 1984m。鶴岡市と庄内町の間に位置する。羽黒山湯殿山とともに出羽三山の一つ。鳥海火山帯の南端に位置する楯状火山で,山形盆地から望むと出羽山地上にまんじゅう笠を載せたように見える。基盤の地質は花崗岩で溶岩は輝石安山岩からなる。中腹以下は浸食を受け,特に西側は急斜面。北側の中腹付近は緩傾斜で,弥陀ヶ原にはニッコウキスゲ,コバイケイソウ (→バイケイソウ〈梅 蕙草〉 ) ,ミヤマウスユキソウ (深山薄雪草)などの高山植物が豊富にみられ,自然保護の対象になっている。山頂には月山神社があり展望は雄大。古くから修験者の信仰の中心地。磐梯朝日国立公園の一部。手向から中腹の弥陀ヶ原までは月山道路,鶴岡市東部から湯殿山北麓までは湯殿山有料道路が通っている。

月山
がっさん

島根県東部,安来市広瀬にある山。標高 192m。山中には尼子氏の居城富田 (とだ) 城跡 (史跡) があり,山麓には岩倉寺,御子守社,堀尾吉晴公墓などがある。清水月山県立自然公園に属する。

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百科事典マイペディア 「月山」の意味・わかりやすい解説

月山【がっさん】

山形県中部の山。出羽三山の一つ。標高1984m。日本最大の楯(たて)状火山で,東半に半月形の広大な平たん面が広がり,西半は急斜面をなす。古代よりみえ,修験(しゅげん)の道場として信仰を集めた。平たん面に多数の湿原や雪田があり,高山植物が生育,夏山スキーの適地として有名。山頂に月山神社がある。
→関連項目大蔵[村]櫛引[町]立川[町]日本百名山山形[県]湯殿山六十里越(山形)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「月山」の意味・わかりやすい解説

月山(山形県)
がっさん

山形県中央部、出羽山地(でわさんち)の南端に位置する火山。標高1984メートル。鶴岡市(つるおかし)、庄内町(しょうないまち)、西川町との境をなし、県内を庄内と村山に二分する。磐梯(ばんだい)朝日国立公園の一部。山体は花崗(かこう)岩と第三紀層を基盤とし、これを貫いて火山の噴出物と安山岩などが層をなす成層火山で、形態的には似ているが、粘性の小さい溶岩からなるアスピーテ型火山ではない。西側には北西に大きく爆裂火口が開き急崖(きゅうがい)をなし、東側の緩やかな山体と好対照をみせている。山腹の標高1300メートルまではブナの純林がみられ、その上部はアオモリトドマツなどの針葉樹林をほとんど欠き、チシマザサ、ハイマツの高山帯に移行する日本海側の豪雪山地特有の植生を示す。山頂東斜面の広大な雪田は夏スキーのゲレンデとなるが、この下部には弥陀ヶ原(みだがはら)などの湿原(天然保護区域)が発達し、オゼコウホネなどの高山植物が多い。また月山は羽黒山、湯殿山(ゆどのさん)とともに出羽三山(でわさんざん)とよばれ、山頂には月山神社を祀(まつ)る霊山として信仰されてきた。登拝路として南東側から岩根沢、本道寺、大井沢、北側に肘折(ひじおり)、西側に羽黒山口の手向(とうげ)、湯殿山口の七五三掛(しめかけ)、大網の7口があった。現在は羽黒山口から八合目までバスが通る月山高原ライン、湯殿山口や志津(しづ)~姥沢(うばさわ)小屋口からの登山路が整備されている。

[中川 重]



月山(島根県)
がっさん

島根県北東部、安来(やすぎ)市広瀬町にある山。標高183.9メートル。『出雲国風土記(いずものくにふどき)』には「勝日(かつひ)山」とある。吐月山(とげつさん)とも称された。山麓(さんろく)は急崖(きゅうがい)をなし、中世には要害の地として頂上に尼子(あまご)氏の居城(国史跡富田(とだ)城跡)があった。頂上は平坦(へいたん)で、城跡のほか勝日高守(かつひたかもり)神社、山中鹿介幸盛(しかのすけゆきもり)記念碑などがあり、太鼓壇、千畳平はサクラの名所。山麓では中世の城下町遺構の発掘調査が行われ、出土品は安来市立歴史資料館に展示されている。

[矢野 博]

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「月山」の解説

がっさん【月山】

島根の日本酒。酒名は、尼子氏の居城があった城山にちなみ命名。大吟醸酒、吟醸酒、純米酒、本醸造酒、普通酒をそろえる。全国新酒鑑評会で平成9年度から5年連続金賞受賞など受賞実績多数。原料米は山田錦、五百万石など。仕込み水は島根県名水百選のひとつで、江戸時代には藩主の茶をたてるのに使われた「お茶の水井戸」の水。蔵元の「吉田酒造」は文政9年(1826)創業。所在地は安来市広瀬町広瀬。

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事典 日本の地域遺産 「月山」の解説

月山

(山形県西村山郡西川町;山形県鶴岡市;山形県東田川郡庄内町)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報

事典・日本の観光資源 「月山」の解説

月山

(山形県鶴岡市・西村山郡西川町・東田川郡庄内町)
出羽三山」指定の観光名所。

月山

(山形県)
日本百名山」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

デジタル大辞泉プラス 「月山」の解説

月山(がっさん)〔日本酒〕

島根県、吉田酒造株式会社の製造する日本酒。全国新酒鑑評会で金賞の受賞歴がある。

月山〔道の駅〕

山形県鶴岡市にある道の駅。国道112号に沿う。

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世界大百科事典(旧版)内の月山の言及

【出羽三山】より

…山形県のほぼ中央部,朝日山地の北端部に位置する月山(がつさん)(1979.5m),湯殿山(1500m),羽黒山(436m)の三山をあわせていう。月山と湯殿山は近接しているが,羽黒山は両山の北約20kmに位置する。…

【納骨】より

…そのような霊場信仰のある山には,おのずから修行者が住みやがて住坊が霊場寺院となるから,納骨はその霊場寺院に納める形になる。しかし山に納骨した風も出羽三山の月山(がつさん)に見られ,月山では山頂(阿弥陀如来をまつった)に納骨していた。明治初年の神仏分離以来それを禁止したところ,登山者はかってに山頂の月山神社周辺や9合目の賽の河原に埋骨していくので,現在は神社境内に祖霊社を設けて,神官が納骨と祖霊供養を受け付けている。…

【山開き】より

…江戸では,大山(おおやま)に初山と称して6月に登る慣行があったし,富士山の山開きの旧6月1日には,町の富士塚に参詣・登拝する習俗があった。また,修験の山である月山や大峰山では,山開きに堂を開く戸開(とあけ)式が行われ,ともに旧4月8日であった。この日は〈卯月八日〉で,大峰では冬ごもりして験力を身につけた晦日(みそか)山伏が山を下る日であり,一般には村人が山に登って依代(よりしろ)としての花を採り,山の神を田の神として村に迎える日である。…

※「月山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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