南インドの太鼓。古典音楽の伴奏に用いられる。パカワージ,ムリダングmridangと呼ばれる同類の楽器が北インドにもある。中央がふくらんだ円筒形の両面太鼓で,あぐらをかき,横にして両手で挟むような形で演奏する。リズムは高度に発達しており,さまざまなリズム・パターンを駆使しての即興演奏が行われる。ターラ(拍子)の第1拍目を強調するために,同じパターンを3回繰り返して最後の拍が第1拍目にくるように計算されたマクタmakuta(マクタムmakutam)の技法や,演奏の速度を2倍の速さにして2回繰り返し,ターラの中にぴたりとおさめる技法には,インド音楽の論理的な性格がよく表れている。声楽やビーナーなどの伴奏楽器として必ず使われるもので,ターラについたり離れたりしながらソリストを盛り立て,聴衆を堪能させるムリダンガ奏者の役割は大きい。北インドの古典音楽ではムリダンガの代りにタブラが用いられる。
執筆者:的場 裕子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
南インドの両面樽(たる)型太鼓。タミル語ではムリダンガムという。大型の男性歌手伴奏用で、全長約60センチメートル、胴の太い部分の周囲約90センチメートル、直径は小膜面約20センチメートル、大膜面約24センチメートル。膜面はともに水牛と羊の皮を組み合せ3枚重ねにし、革紐(ひも)で胴に締める。小膜面は外側の皮のみ中央を円状に切り取り、そこにマンガン粉などの黒色ペーストをつける。大膜面は外側皮2枚を円状に切り取り、演奏直前に米粉からつくるペーストをつけて小膜面の1オクターブ下に調律する。奏者は指や手のひらを使って十数種の打音を生み出す。南インド古典音楽の主要打楽器として、声楽などの即興伴奏や即興ソロを行う。現在、古典音楽の中心地チェンナイ(マドラス)にはタンジョールとプドゥコタイの二大流派があり、パルガット・ラグー、U・K・シバラーマン、トゥリチー・シャンカラムが三大奏者といわれている。なお、北インドでも声楽ドゥルパッドに用いる太鼓パッカワージをこの名でよぶことがある。
[柴田典子]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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