改訂新版 世界大百科事典 「ヨコグラノキ」の意味・わかりやすい解説
ヨコグラノキ
Berchemia berchemiaefolia(Makino) Koidz.
まれに渓谷やがけなどに孤立的に生えるクロウメモドキ科の落葉小高木。若枝はやや紫がかった赤褐色で,細長い皮目があり,無毛,古くなると灰色となる。葉は互生し,しばしば左右に交互に2枚ずつの葉が展開するように見える。葉身は卵形で,長さ8~10cm,幅2.5~4.5cm,基部は円形で約1cmの柄があり,先は尾状にのびる。脈は羽状脈で,7~8対が平行して走り,縁近くで上向きに曲がり,やや波状の縁をつくる。葉裏は粉白色を帯びる。花序は枝端および枝上部の葉腋(ようえき)に出る。花は小さく,萼片5枚,花弁5枚,おしべ5本,めしべ1本よりなり,花弁は萼より小さくおしべを包んでいる。果実は核果で,赤く熟し,中に1核がある。東北地方南部以南の本州,四国,九州,朝鮮南部,中国大陸に点在的に見られる。和名は高知県横倉山で発見されたことによる。特に利用はされない。
執筆者:岡本 素治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報