日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨトウガ」の意味・わかりやすい解説
ヨトウガ
よとうが / 夜盗蛾
cabbage army worm
[学] Mamestra brassicae
昆虫綱鱗翅(りんし)目ヤガ科に属するガ。はねの開張40~45ミリメートル。はねは細長く、体翅とも黒褐色、後翅は基部からはねの3分の2あたりまで白っぽい。前翅にはあまり明瞭(めいりょう)でない黒色横線があり、横脈上の淡褐色紋は白色と黒色の環で囲まれている。亜外縁部にも白線があり、その外側は黒っぽい。ほとんど日本全土からユーラシア大陸の全域に分布する。幼虫は体長40ミリメートルくらいのイモムシで、胴部の背面は黒みを帯びた褐色、尾端近くは黒っぽい。気門は灰黄色で黒環に囲まれ、それより腹側は明るい褐色。ヨトウムシとよばれ、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、ソラマメ、ジャガイモ、ニンジン、ホウレンソウなど非常に多くの農作物の葉を食べて大害を与える。蛹(さなぎ)で越冬し、春に第1化が羽化し、6月下旬に土中で蛹化(ようか)、第2化の成虫は9~10月に羽化する。幼虫は昼間は株元や土中に潜み、夜間出てきて食害する。
[井上 寛]