1898年にキュリー夫妻により発見された放射性同位元素(ラジオ・アイソトープ:RI)のラジウム(原子番号88、原子量226)が壊変する際に放出されるα(アルファ)線、β(ベータ)線、γ(ガンマ)線のうち、おもにγ線を利用した放射線治療法。ラジウムを白金製の管や針などの小さな容器に密封し、がん病巣に一時的に留置して照射を行うため、密封小線源治療として知られる。子宮頸(けい)がんや舌がんなどに対する密封小線源治療の代表的な放射線源として広く利用されてきたが、ラジウムの半減期は約1600年と長いため、放射線防護・管理の観点から、現在は半減期のより短いコバルト60、イリジウム192、ヨウ素125、金198などが使用されている。
一方、α線を放出する原子量が223のラジウムを静脈内に投与し、骨に集まりやすい性質を利用して前立腺がんの骨転移に対する治療を行う非密封小線源治療があり、RI内用療法ともよばれている。これら二つはまったく異なるがん治療である。
[赤沼篤夫・石川 仁 2024年2月16日]
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