ラブラドライト(その他表記)labradorite

翻訳|labradorite

改訂新版 世界大百科事典 「ラブラドライト」の意味・わかりやすい解説

ラブラドライト
labradorite

長石一種で,本来のラブラドライトは,アルバイト(Ab)とアノーサイトAn)の固溶系列でAb50,An50~Ab30,An70組成範囲をもつ斜長石に対して与えられた鉱物名である。しかし慣用的には,せん光を示す斜長石を総称するようで,美しいものは宝石として扱われる。ラブラドライトの名まえは,この鉱物が最初に発見,記載されたカナダラブラドルに由来する。せん光の原因は,二つの異なった組成の斜長石が,細かく互層して光を干渉させる,結晶内部に含まれた細かい他の鉱物が光を干渉させてせん光を与えるなどと解釈されている。
長石
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岩石学辞典 「ラブラドライト」の解説

ラブラドライト

この岩石名は当初は斑糲(はんれい)岩,輝緑岩,輝緑岩などを含むグループ名として提案されたが[Senft : 1857],後にフランスでは鉱物のラブラドライト(フランス語でlabrador)に富む優白質の玄武岩に用いられ,ラブラドライト安山岩橄欖(かんらん)石を含まない玄武岩)に使用された[Fouque & Michel-Levy : 1879].ロシアでは灰長岩など斑糲岩~ノーライトの優白質の岩石に使用された.このように鉱物名と同じ岩石名がしばしば用いられていたが,現在では混乱を防ぐためこの岩石の名称は使用されない.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のラブラドライトの言及

【斜長石】より

…組成範囲によって次のような名が与えられている。Ab100An0~Ab90An10=アルバイトalbite(曹長石),Ab90An10~Ab70An30=オリゴクレースoligoclase(灰曹長石),Ab70An30~Ab50An50=アンデシンandesine(中性長石),Ab50An50~Ab30An70=ラブラドライトlabradorite(曹灰長石),Ab30An70~Ab10An90=バイトウナイトbytownite(亜灰長石),Ab10An90~Ab0An100=アノーサイトanorthite(灰長石)。斜長石は,火成岩をはじめ変成岩,堆積岩に広く産する。…

【長石】より

…へき開は{001},{010}の2面に良好である。色は,ガラス光沢をもった白,クリーム,ピンク,灰色などであるが,特にムーンストーン(月長石),ラブラドライトなどと呼ばれるものは,緑,黄,赤,青などのせん光を示す。これは,二つの成分の異なった長石の細かい互層や結晶内部に包有された細かい不純物(例えばチタン鉄鉱)が光の干渉を起こしたものといわれる。…

※「ラブラドライト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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