改訂新版 世界大百科事典 「リッチフィールド」の意味・わかりやすい解説
リッチフィールド
Lichfield
イギリス,イングランド中部スタッフォードシャーの都市。人口2万5600(1981)。同市の領主権は,1548年都市ギルドの手に渡るまで長らくチェスター司教が所有していた。この間13~14世紀にかけて大聖堂が建造され,その身廊(1250-80ころ)は初期イギリス様式と装飾様式の傑作で,ウェストミンスター・アベーの身廊との類似性がみられる。大ボールトは木造で架けられたもので副次的部材であふれ,石造では不可能な試みや装飾法が見られる。三つの優雅な尖塔と壮麗な西正面(1280ころ)は,同国のゴシック大聖堂の中でも傑出したものの一つ。大聖堂図書館は,700年以前の聖書写本やチョーサーの《カンタベリー物語》の挿絵入り写本などを所蔵。文学者サミュエル・ジョンソンの生地で,生家は現在〈ジョンソン博物館〉となっている。
執筆者:馬杉 宗夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報