改訂新版 世界大百科事典 「住宅都市」の意味・わかりやすい解説
住宅都市 (じゅうたくとし)
住宅の集積によって成立している都市。その多くは大都市周辺に位置し,大都市への通勤者が居住している衛星都市で,いわば郊外住宅地が発展し,大都市が本来もつべき機能の一部を分担するにいたった都市といえる。住宅地としての環境や条件に反するような工場などの立地が少なく,商業機能も日常生活必需品程度のことが多いので,都市としての独立性が弱く,母市である大都市への依存度が高い。また,通勤者が多く,昼間人口の流出が多いことも住宅都市の特色である。日本で新造されたベッドタウンという語もほぼ同義に用いられているが,ややまとまったひろがりをもつ住宅地をもベッドタウンと呼ぶこともあり,行政上の範囲をも示す〈住宅都市〉とは厳密には違いがある。武蔵野,国立(くにたち),豊中,芦屋などの諸市は,住宅都市の代表例である。
→郊外
執筆者:鈴木 富志郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報