ルイジアナ(読み)るいじあな(英語表記)Louisiana

翻訳|Louisiana

精選版 日本国語大辞典 「ルイジアナ」の意味・読み・例文・類語

ルイジアナ

(Louisiana) (フランス王ルイ一四世にちなむ) アメリカ合衆国南部の州の一つ。メキシコ湾北岸のミシシッピ川河口付近一帯を占める。州都バトンルージュ。もとフランス領で、一八〇三年ナポレオンアメリカ合衆国に売却。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルイジアナ」の意味・わかりやすい解説

ルイジアナ
るいじあな
Louisiana

アメリカ合衆国南部の州。面積12万5674平方キロメートル、人口446万8976(2000)。北はアーカンソー州、東はミシシッピ川と一部はパール川を隔ててミシシッピ州、西はテキサス州に接し、南はメキシコ湾に面する。州都バトン・ルージュ。海岸平野とミシシッピ川の沖積平野からなり、全体に低地で、最高地点は北西部の163メートルにすぎない。南部は低湿地で、潟湖(せきこ)、沼地、入り江などが多い。ミシシッピ川周辺には三日月湖、河口には鳥嘴(ちょうし)状三角州が発達している。北部は松林に覆われた丘陵地が広がる。気候は、南部では亜熱帯性、北部では温帯性である。南部に位置するニュー・オーリンズの年降水量は1577ミリメートル、平均気温は1月で11.5℃、7月で28.1℃である。

 温暖な気候と肥沃(ひよく)な沖積平野に恵まれ、サツマイモサトウキビ、米、大豆、トウモロコシ、綿花の栽培が盛んである。また、イチゴ、メロン、野菜などの園芸農業と養鶏、牛の飼育も発達してきた。ニシンやエビ、カキなど漁業も重要な地位を占める。地下資源に恵まれ、岩塩と硫黄(いおう)の生産は全米第1位で、石油、天然ガス液化天然ガスの生産は全米第2位である。かつて石油は北部のモンローやシュリーブポート周辺で採掘されたが、最近ではメキシコ湾の海底油田からの生産量が多くなってきた。州の約半分は林地であり、木材資源も豊富である。これらの資源を利用して、精油、石油化学、パルプ製紙工業が発達している。その他にも金属、食品加工、輸送用機器、衣服、電気機器工業がある。これらの工業は第二次世界大戦後急速に成長し、最大都市ニュー・オーリンズとバトン・ルージュ地区に約半分が集まっている。長年遅れていた教育も近年は著しい発達をみせ、ルイジアナ州立大学(1860創立)や、チュレイン大学(1834創立)などがその中心となっている。また、ジャズの発祥地として知られ、フレンチクォーターやマルディ・グラの祭りも重要な観光資源となっている。

[菅野峰明]

歴史

フランスの植民地として出発し、1682年ラ・サールによってルイ14世にあやかり「ルイジアナ」と命名された。その後、イギリスによってノバ・スコシアを追われたフランス系住民が移住してきたり、フランス革命時には祖国を脱出した王党派の亡命地となったりする。しかし領有権そのものはフランスからスペインに譲渡(1762)されたり、またフランスに返還(1800)されたりして変遷をたどるが、1803年のルイジアナ購入によって合衆国の領土となる。1812年、合衆国第18番目の州として連邦に加わった。1815年ジャクソンがニュー・オーリンズの戦いでイギリスに勝利したのち、砂糖や綿花のプランテーション地帯として本格的な発展が始まった。とくにニュー・オーリンズは合衆国第二の港として隆盛を極めた。南北戦争と、それに続く再建期には急進派と保守派の政争の中心地となり、人種暴動やクー・クラックス・クランの活動などによって政治的激動を経験した。1849年まではニュー・オーリンズが州都であった。

[長田豊臣]


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改訂新版 世界大百科事典 「ルイジアナ」の意味・わかりやすい解説

ルイジアナ[州]
Louisiana

アメリカ合衆国南部,メキシコ湾岸の州。略称La.。連邦加入1812年,18番目。面積11万2825km2,人口453万3372(2010)。州都バトン・ルージュ,最大都市ニューオーリンズ。州名はフランス王ルイ14世にちなんで1681年につけられた。ミシシッピ川河口部の三角州を中心とした低平な州で湿地が多く,最高点のドリスキル山でも161mで,平均標高はわずか30m程度しかない。亜熱帯気候で夏は蒸し暑いが,真冬にはかなり寒くなり,内陸では雪が降ることもある。鉱工業が急速に発展しており,とくに石油の産出が大きい(全米3位,1980)。天然ガス,硫黄,石灰,岩塩の産出も多く,鉱業が州生産高の約2分の1を占める。石油化学を中心に食品,自動車,エレクトロニクスなど各種の工業も発達している。主要農産物は大豆,小麦,トウモロコシ,綿花で,ほかにサツマイモ(全米1位),メロン,サトウキビなども栽培される。牛や鶏の飼育もみられる。魚とカキの水揚げも多い。

 1541年にスペイン人探検家デ・ソトがこの地へ入ったが,1682年にはフランス人R.C.deラ・サールがフランス領と宣言し,1714年にはフランス人の集落が建設された。62年スペイン領となったが,1800年再びフランス領となり,03年ルイジアナ購入でアメリカ領となった。現在でも,クレオールと呼ばれるフランス系やスペイン系の住民がおり,独特の言葉を使い,また,ニューオーリンズのフレンチ・クオーターをはじめ,各地にかつての大農場主の建てたフランス風の邸宅がみられる。南北戦争後も深南部特有の大農場経営と奴隷制の影響が近年まで色濃く残存し,1960年代の人種問題の激化を招いた。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ルイジアナ」の解説

ルイジアナ
Louisiana

フランス人探検家ラ・サールが1682年ミシシッピ川流域を探検し,この地方をルイジアナと名づけてルイ14世にささげた。1763年フランスはミシシッピ川以西とニューオーリンズをスペインに,ミシシッピ川以東をイギリスに譲った。後者はアメリカの独立をイギリスが認めたときアメリカ領となった。ナポレオンはスペイン領ルイジアナを取り戻したが,財政上の必要などから結局1803年アメリカに売却した。現在のルイジアナ州はかつてルイジアナと呼ばれた地方の一部にしかすぎない。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ルイジアナ」の解説

ルイジアナ
Louisiana

歴史的にはミシシッピ川流域の広大な地域名
1682年,この地域を探検したフランス人ラ=サールがルイ14世にちなんで命名。七年戦争後の1763年のパリ条約でミシシッピ川以東はイギリス領,以西はスペイン領となった。前者は,アメリカ独立戦争後の1783年のパリ条約で,イギリスからアメリカ合衆国に割譲された。後者は,1800年ナポレオン1世がフランス領としたが,03年アメリカに売却された。

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デジタル大辞泉プラス 「ルイジアナ」の解説

ルイジアナ

《Louisiana》アメリカ海軍の戦艦。コネチカット級の前弩級戦艦。船体識別番号はBB-19。1904年進水、1906年就役。グレート・ホワイト・フリートの世界一周航海(1907~1909年)に参加。1923年退役、スクラップとして解体。

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世界大百科事典(旧版)内のルイジアナの言及

【ペリカン】より

…象徴としてのペリカンをとくに重視した4世紀の聖人ヒエロニムスは,ヘビ(魔王の象徴)の毒で殺された雛が蘇生するのは,母鳥がくちばしで自身の脇腹を傷つけ血を滴らせるからだと説いた。この図柄はアメリカ,ルイジアナ州の紋章でもあり,同州はペリカン州Pelican Stateとも俗称される。なお,みずからの胸を傷つけるペリカンの紋章には雛が描かれない例もあり,〈血を流すペリカンpelican vulning〉の別名で知られる。…

※「ルイジアナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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