レチナール

デジタル大辞泉 「レチナール」の意味・読み・例文・類語

レチナール(retinal)

脊椎動物の目の網膜において色素たんぱく質のオプシンと結合し、視紅ロドプシン)という視物質としてはたらく化合物レチネン

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「レチナール」の解説

レチナール
レチナール
retinal

C20H28O(284.43).ビタミンAアルデヒド,レチネンなどともいう.ビタミンA(レチノール)の末端-CH2OHが-CHOになったもの.動物の網膜,卵,血漿などに存在する.この化合物の11-シス異性体は,網膜中タンパク質オプシンと結合して視色素ロドプシン(視紅)を形成し,ビタミンAとともに視覚作用に関与している.ビタミンAを活性二酸化マンガンで酸化すると得られる.黄色柱状晶.融点61~64 ℃.λmax 369.5 nm(log ε 4.64).淡水産の魚類両生類には3,4-デヒドロレチナールが視覚現象に関与しているものがある.[CAS 116-31-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「レチナール」の解説

レチナール

 C20H28O (mw284.44).

 上は9-cis-レチナール,下はall-trans-レチナール.ビタミンAアルデヒド,レチネン,アクセロフタールともいう.レチノールが酸化されてアルデヒドになったもの.ビタミンA活性をもつ物質一つ.視覚の本体であるロドプシンの構成要素で,光刺激の受容必須な物質.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レチナール」の意味・わかりやすい解説

レチナール
retinal

レチネン。網膜の杆状体に含まれる,視物質である視紅 (ロドプシン) を構成する物質。ビタミン A1 の一つで,網膜に光が当ると還元されて,レチノールとなる。レチナールはレチノールのアルデヒドであり,両者は同じ生理作用をもつ。体内ではレチノールからアルコールデヒドロゲナーゼによって作り出され,レチナールになるとオプシンと結合して視紅が再形成される。

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世界大百科事典(旧版)内のレチナールの言及

【カロチン】より

…空中酸素により容易に酸化される。カロチンは動物体内で酸化され2分子のビタミンAに変化し,さらにビタミンAアルデヒド(レチナールretinal)となり視覚の光受容に重要な機能をもっている。また補助色素として光合成に関与し,光の破壊作用からの保護機能などを有している。…

【ロドプシン】より

…前者は強い光に反応して色覚をつかさどり,後者は弱い光のもとで明暗を識別するが,色覚には関係しない。ロドプシンは,細胞内のディスク膜の成分である分子量3万8000のオプシンopsinに,ビタミンAの誘導体11‐シス‐レチナールretinalが結合した複合タンパク質である。ビタミンAが欠乏するとロドプシンの合成が損なわれ夜盲症の原因となる。…

※「レチナール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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