ロストフ(その他表記)Rostov

デジタル大辞泉 「ロストフ」の意味・読み・例文・類語

ロストフ(Rostov/Ростов)

ロシア連邦南西部、ロストフ州の都市。同州の州都アゾフ海に注ぐドン川下流域に位置し、港湾を擁す。18世紀半ば、ロシア帝国が港と要塞を築いたことに起源する。水陸交通の要地であり、農業機械・食品工業などが発達。人口、行政区105万(2008)。ロストフナドヌー
ロシア連邦西部、ヤロスラブリ州の都市。首都モスクワの北東約200キロメートルに位置する。「黄金の環」と呼ばれるモスクワ北東近郊の観光都市の一つ。歴史は古く、9世紀にはすでに文献上に登場しており、中世にロストフ公国の首都として栄えた。13世紀にモンゴル帝国侵略を受け、15世紀にモスクワ公国に併合された。16世紀から17世紀にかけて建造されたクレムリンにはウスペンスキー聖堂、バスクレセーニエ教会、スパサナセニャフ教会をはじめ、歴史的建造物が数多く残っている。ロストフベリーキーロストフヤロスラフスキー

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改訂新版 世界大百科事典 「ロストフ」の意味・わかりやすい解説

ロストフ
Rostov

ロシア連邦北西部,モスクワの北東約200km,ヤロスラブリ州のネロ湖畔に位置する都市。人口3万6400(1993)。ロシアの古都で,ロストフ・ヤロスラフスキーRostov-Yaroslavskiiともいう。12~17世紀にはロストフ・ベリーキーRostov Velikiiと呼んだ。《原初年代記》の862年の項に初めてその名が現れる。10世紀にはロストフ・スーズダリ公国の首都となったが,やがてウラジーミル・スーズダリ公国に併合された。

 1207年ロストフ公国の首都となったが,38年のモンゴル軍による破壊ののち公国は分裂した。14世紀にはモスクワ大公国の影響下に入り,1474年完全に併合された。その後18世紀末までは大主教座(のち府主教座)の所在地として,宗教的に重要な意味を保持した。17世紀からこの地に定期市が開催されるようになり,それは19世紀前半には,ニジェゴロドとイルビートに次ぐロシアで第3の規模を誇った。ウスペンスキー大聖堂(16世紀),鐘楼堂(17世紀)などを擁するロストフのクレムリン(16~17世紀)は古都にふさわしい偉容をみせている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロストフ」の意味・わかりやすい解説

ロストフ
ろすとふ
Ростов‐Ярославский/Rostov-Yaroslavskiy

ロシア連邦西部、首都モスクワ北東約200キロメートルにある都市。人口3万3万4800(2003推計)。12~17世紀にはロストフ・ベリーキーРостов Великий/Rostov Velikiy(「大ロストフ」の意)とよばれた。ロシア最古の都市の一つで、史書には862年に初めて記され、10世紀にロストフ・スズダリ公国の、1207年にはロストフ公国の首都となったが、1238年モンゴル軍の侵攻により破壊され、1474年モスクワ大公国領となった。17世紀から定期市が開かれ、商業中心地としてロシア中に知られるに至った。大僧正(だいそうじょう)公邸(現博物館)を含むクレムリン(16~17世紀建築)、ウスペンスキー聖堂(16世紀建立)、当時の列状の商店街などが残され、市外のボリソグレプスキー修道院などとともに歴史的建築美術保全地域に指定されている。

渡辺一夫

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロストフ」の意味・わかりやすい解説

ロストフ
Rostov

別称ロストフヤロスラフスキー Rostov-Yaroslavsky,旧称 (12~17世紀) ロストフベリキー Rostov Veliky。ロシア西部,ヤロスラブリ州の都市。州都ヤロスラブリの南西約 50kmにあり,ネロ湖にのぞむ。年代記の 862年の項に記される古都で,中世初期のロシアの中心地の一つであった。クレムリン (城砦) ,ウスペンスキー大聖堂,白亜宮殿など,歴史的建築物が多数残っている。アマ (亜麻) 加工,飴などの工場があり,七宝細工で知られる。モスクワとヤロスラブリを結ぶ鉄道,ハイウェーが通る。人口3万 6400 (1991推計) 。

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