ロンドン軍縮会議(読み)ロンドングンシュクカイギ

デジタル大辞泉 「ロンドン軍縮会議」の意味・読み・例文・類語

ロンドン‐ぐんしゅくかいぎ〔‐グンシユククワイギ〕【ロンドン軍縮会議】

1930年、ロンドンで開かれた日本イギリスアメリカフランスイタリア5か国(フランス・イタリアは途中脱退)による海軍軍備制限のための会議ロンドン海軍条約が締結され、主力艦以外の補助艦を一定比率で制限することを決定。日本はイギリスやアメリカの約7割の補助艦を保有することになったが、国内では軍部が激しく反対し、統帥権干犯問題を引き起こした。

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精選版 日本国語大辞典 「ロンドン軍縮会議」の意味・読み・例文・類語

ロンドン‐ぐんしゅくかいぎ‥グンシュククヮイギ【ロンドン軍縮会議】

  1. 一九三〇年、ロンドンで開かれた海軍補助艦の保有量に関する軍縮会議。参加国は英・米・日・仏・伊であったが、地中海制海権を競う仏・伊は協定拒否。英・米・日で協定が成立。日本は総トン数で対英米約七割の補助艦を保有することになった。

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改訂新版 世界大百科事典 「ロンドン軍縮会議」の意味・わかりやすい解説

ロンドン軍縮会議 (ロンドンぐんしゅくかいぎ)

ワシントン海軍軍備制限条約(1922)の有効期間満了が近づいたため,マクドナルド・イギリス首相の提唱で,イギリス,アメリカ,日本,フランス,イタリアの五大海軍国がロンドンで開催した会議(1930年1月21日~4月22日)。

 1927年6~8月に開かれた5ヵ国によるジュネーブ軍縮会議は,長い海岸線防衛用に主力艦を重視するアメリカと,世界にまたがる帝国防衛のために小型巡洋艦に制限を加えまいとするイギリスの対立が鋭く,暗礁にのりあげていた。これを受けたロンドンの会議ではイギリス,アメリカがともにその要求を取り下げた。日本は対米70%の大型巡洋艦を要求したがいれられず,結局小型巡洋艦と駆逐艦についてイギリス,アメリカの70%,潜水艦は均等という条件で,大型巡洋艦に対するワシントン条約の比率(60%)適用を受諾した。この結果4月22日にイギリス,アメリカ,日本の間で,ロンドン海軍軍備制限条約が締結された(有効期間6年)。地中海の制海権を争うフランス,イタリアは話合いがつかず,参加しなかった。同条約の協定保有量は表のとおりである。この会議では,ワシントン条約による1931年からの代替建造が36年まで延期され,イギリス,アメリカ,日本が主力艦を1年半以内にそれぞれ5,3,1隻廃棄して,保有量をイギリス,アメリカ各15隻,日本9隻にすることも取り決められた。

 この条約は現有量と協定保有量の差が小さく,そのうえイギリスの主張で〈エスカレーター条項〉(第21条,非締約国の新艦建造で安全を脅かされた締約国は,他の締約国に通告のうえ必要な艦艇を増加でき,他の締約国もそれに比例して増加できる)が設けられたため,軍縮の効果はあまり大きくなかった。同条約の期間満了を控えて,1935年末から再びロンドンで会議が開催されたが,すでに日本は1934年に,36年末をもってワシントン,ロンドン両条約による制限が終結することを通告しており,またベルサイユ条約に違反してドイツは有力な海軍国になっていたため,意味のある合意の基盤は失われていた。36年末ワシントン,ロンドン両条約の失効とともに,各国は激しい建艦競争をくりひろげた。
統帥権干犯問題
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旺文社世界史事典 三訂版 「ロンドン軍縮会議」の解説

ロンドン軍縮会議
ロンドンぐんしゅくかいぎ
London Naval Conference

1930年1月から4月まで,アメリカ・イギリス・フランス・イタリア・日本の5か国がロンドンで開いた海軍軍縮会議
ジュネーヴ軍縮会議(1927)が失敗に終わったため,イギリスの主催によりワシントン会議での海軍軍縮条約の改定と補助艦問題が審議された。主力艦建造中止期間を5か年延期し,補助艦についてはアメリカ・イギリス・日本の比率を10:10:7とすることが定められたが,フランス・イタリアは自国の主張が認められなかったので参加しなかった。日本の軍部はこの決定に激しく反対し,超国家主義運動台頭のきっかけとなった。

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