ワイヤーシュトラス(英語表記)Karl Weierstrass

改訂新版 世界大百科事典 「ワイヤーシュトラス」の意味・わかりやすい解説

ワイヤーシュトラス
Karl Weierstrass
生没年:1815-97

ドイツ数学者。ウェストファリア地方のオステンフェルデで生まれる。ミュンスターギムナジウムを経て,1834年にボン大学法学部へ進んだが,J.プリュッカー幾何学講義ばかりに出ていたので,3年間在学したが,免状を与えられなかった。ギムナジウムの数学教員の検定試験を受ける準備のためにミュンスター大学へ入る。ここでもグーダーマンChristof Gudermann(1798-1851)の講義に出ただけであった。41年に検定試験に合格し,これから56年までギムナジウムの授業を担当していたが,その間に超楕円積分の逆関数を取り扱った論文を完成し,それによって56年の夏に王立ベルリン工芸学校の教授となり,秋にはベルリン大学の助教授を兼ねた。グーダーマンのべき級数展開の方法を継承し,関数要素,解析接続概念を導入し,解析関数を定義して,解析関数論を樹立し,これを用いてアーベル関数の研究を遂行した。64年に教授に昇格,その講義には国の内外の青年が集まった。
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百科事典マイペディア 「ワイヤーシュトラス」の意味・わかりやすい解説

ワイヤーシュトラス

ドイツの数学者。ミュンスター大学でグーダーマンC.Gudermann〔1798-1851〕に学び,1864年ベルリン大学教授。リーマンと並ぶ関数論開拓者で,べき級数を用いる解析接続の概念に立って解析関数の理論建設無理数,変分学,幾何学等も研究,微分係数をもたない連続関数発見
→関連項目コワレフスカヤ

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世界大百科事典(旧版)内のワイヤーシュトラスの言及

【関数論】より

…けれども,このころは,実関数に関する二つの式を複素関数を用いて一つの式で表すといった便宜的なものにすぎなかった。 関数論の基礎は,19世紀の中ごろに,A.コーシー,G.リーマン,K.ワイヤーシュトラスの3人によって築かれた。 コーシーは1814年に書いた論文(1825発表)において,流体力学の考えに基づいて複素積分を考え,それを実定積分の計算に応用している。…

【実関数論】より

… リーマンは現在のいわゆるリーマン積分の基礎を築いたが,19世紀の後半に至って微積分学の方法がさらに反省され,極限演算の場としての実数の概念をいっそう明確にすることが必要となって,無理数論が生まれた。J.W.R.デデキントとカントルの論文(いずれも1872),K.ワイヤーシュトラスのベルリン大学における講義は,互いに独立に無理数の理論を創設したものであるが,それらは互いに同値な理論である。無理数論の確立により,微積分学は初めて現代の厳密さに到達できたといえる。…

【数学】より

…ヒルベルトはさらに実数を用いて(A,E)の諸命題が成り立つモデルをつくり,(A,E)の無矛盾性を示した。実数論については《ストイケイア》第5巻にもすでに述べられているが,それを完成したのも19世紀の数学者K.ワイヤーシュトラス,R.デデキント,G.カントルらの業績であった。実数論は,彼らによって自然数論に帰着されたが,デデキントやG.ペアノは,集合と写像の考えを用いて自然数論を公理的に構成した。…

※「ワイヤーシュトラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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