ワンダーフォーゲル(英語表記)Wandervogel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ワンダーフォーゲル
Wandervogel

ワンゲルと略す。山野を徒歩旅行し,自然のなかで自主的生活を営みつつ,心身を鍛練し,語り合うことを目的とする青年運動の一つ。ワンダーフォーゲルはドイツ語で「渡り鳥」の意。 19世紀末ドイツの高校生や大学生を中心に始められた運動で,ユースホステル活動と結び盛んに行われるようになった。第1次世界大戦後「祖国を愛する運動」として広がり,のちにはヒトラーユーゲントに合併されたが,第2次世界大戦後復活した。日本では,第2次大戦後大学生を中心にクラブが結成され,集団キャンプ旅行による訓練と相互の親睦を深める活動としてユースホステル運動とともに広く普及していった。

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デジタル大辞泉の解説

ワンダーフォーゲル(〈ドイツ〉Wandervogel)

《渡り鳥の意》グループで、山野を徒歩旅行する活動。青年運動として、20世紀初めドイツで始められた。ワンゲル

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百科事典マイペディアの解説

ワンダーフォーゲル

徒歩旅行。ドイツで〈渡り鳥〉の意。ドイツ中世の学生たちが優れた先生を求めてあちこちの大学を渡り歩いたので,この学生たちのことを〈渡り鳥〉と呼んだのが語源。この学生たちは背中に大きな籠(かご)を背負って,必要なものを一式持ち歩き,野宿をして徒歩旅行をしていた。これにヒントを得てスタートしたのが,1895年のドイツのシュテーグリッツ・ギムナジウムの生徒たちが始めた徒歩旅行運動である。この運動のリーダーであったカール・フィッシャーKarl Fischerは,当時のギムナジウムの教育が古典語学習を中心とした無味乾燥な授業で意味がないと抗議し,もっと血の通った生きた教育が必要であると主張して自らギムナジウムを飛び出し,史跡を訪ね歩きながら歴史の勉強をしたり,植物や鉱物を採集しながら生物学や地質学を学んだり,地方の民謡を歌いフォーク・ダンスを踊り,地場産業について学んだりする活動を展開した。1897年には,この運動を〈ワンダーフォーゲル〉と名づけ,ドイツ全土に普及させるための組織がベルリンに設立された。かくして,多くのギムナジウムの学生たちが各地を渡り歩くようになり,野営生活の技術や峠越え,尾根歩き,山登りの技術の修得にも力を入れるようになっていった。この運動がきっかけになって,当時の教育思想に大きな影響を及ぼした〈青年運動Jugendbewegung〉や〈ユース・ホステル運動youth hostel movement〉が活発に展開された。日本には1930年代に紹介され,第2次大戦後は大学を中心に山岳部とは別個のワンダーフォーゲル部が独自に活動を始めている。しかし,ワンダーフォーゲル活動が起こった当初の精神が忘れられており,もっぱら,体育会系の活動だけが展開されているのが現状である。
→関連項目キャンプ

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世界大百科事典 第2版の解説

ワンダーフォーゲル【Wandervogel】

ドイツ語で〈渡り鳥〉の意味。渡り鳥のように自由にあちこちを遍歴し,徒歩旅行によって身体をきたえ,素朴で簡素な生活を通じて独立の精神を養おうという趣旨の青年運動。この運動の発端となったのは,1895年にドイツのシュテーグリッツ高等学校の生徒たちが始めた野外活動である。彼らは都市化が進む生活様式の中で見失われがちな人間的な価値を求めて大自然の中へ分け入った。自然と深く交わることから自己の存在理由を見いだし,民族や国家について思いをめぐらすことを求めたのである。

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大辞林 第三版の解説

ワンダーフォーゲル【Wandervogel】

〔渡り鳥の意〕
親睦・健康のためグループで山野を歩く運動。ドイツに始まる。ワンゲル。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ワンダーフォーゲル
わんだーふぉーげる
Wandervogelドイツ語

山野を、渡り鳥のように徒歩旅行する活動のこと(ワンダーフォーゲルはドイツ語で渡り鳥の意)。1896年、ドイツ・ベルリン郊外の高校生カール・フィッシャーにより始められ、1901年、同じくドイツのウォルフ・マイネンWolf Meyenenという少年によってワンダーフォーゲルと名づけられた。初めは、社会の矛盾に抵抗して、自然の中に新しい文化と生活を求める青少年の旅行運動であった。都会生活を離れ、大自然の中で自主的な生活を行い、理想主義に燃えて語り合うというワンダリングは、1909年リヒアルト・シルマンによって始められたユースホステル活動とも結んで、たちまちヨーロッパから世界各国に広まり、ドイツじゅうにギターとリュックサックを担いだワンダラーがみられるようになった。第二次世界大戦中はナチスのヒトラー・ユーゲントに統合されたが、戦後復活し、本来の活動が行われるようになった。日本では戦後、大学生を中心にクラブが結成され、しだいに社会人にも普及していった。日本の場合、山地が多いので、その活動は登山と混同されやすいが、自然の中で生活し、語り合うことが主旨で、山もその対象の一部であり、海岸、平野のワンダリングも多い。いわゆるスポーツ登山とは目的意識を異にしている。この点、イギリスで行われたハイキングと同義的に用いられている。しかし、厳格なトレーニングを要求するスポーツ登山と異なり、同好の士の集まりなので安易に流れやすいが、行動面でたいせつなことは、気象、地図などの基礎知識や、歩き方などの技術を十分に習得し、無理のない計画をたて、用具の準備をして慎重な行動をすることが必要である。[徳久球雄]

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