中世に一揆的集団がもった連帯性。寺院社会の集会で,仏教的な一味和合の精神にもとづき,参加者の総意による決定が図られたことに起源するとみられる。神仏を介して強い連帯性が備わるとする観念は広く中世社会に浸透した。一味同心を図るために,一味神水の作法などが用いられた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…一味同心という一致団結した状態の集団(一揆)を結成する際に行われた集団誓約の儀式,作法。この儀式は,一揆に参加する人々が神社の境内に集まり,一味同心すること,またその誓約条項に違犯した場合いかなる神罰をこうむってもかまわない旨を記した起請文を作成し,全員が署名したのち,その起請文を焼いて灰にして,神に供えた水である神水に混ぜて,それを一同が回し飲みするのが正式の作法であった。…
…一味同心という連帯の心性を共有する人々で構成された集団。日常性をこえた問題,通常の手段では解決が不可能であると考えられた問題を解決することを目的にして結成された,現実をこえた非日常的な集団が一揆である。…
…神人共食の儀礼は人間どうしの共食の風にもおよび,村運営のための寄合その他各種集会にも共同飲食がおこなわれる。〈一味同心〉といい,同じ飲食物をともに味わうことによって親密感を増し,心を一にして共同体的結合を強化しようとするもので,中世郷村制成立期の惣村・郷村における茶寄合もその一つである。さらに武士団の党ややくざの集団で,酒を酌み交わし会食するのも,共食によって主従的結合,同志的結合を強めようとするものである。…
…また,〈汁〉と称した宴会も室町期から行われている。主人役が汁,あるいは汁と菜(さい)を準備し,客はおのおの飯を持参して食べながら歓談するというものだったようであるが,同時にこれは汁講,汁会と呼ばれて一味同心の連帯を確認,強化するための共食の意味をもつようになった。江戸時代になると都市,農村ともにこうした形の共食を行い,それが法令伝達の場ともなった。…
※「一味同心」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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