肩関節を前後および外側から覆っている厚い三角形状の強大な筋で、肩から上腕の上部へかけての丸みは大部分がこの三角筋によって形成されている。この筋の線維の配列はやや特別で、鎖骨の外側3分の1の前縁と上面、肩峰および肩甲棘(けんこうきょく)が起始となっておこり、肩関節を覆ったのち、上腕骨の中央よりやや上部の外側面に停止するが、停止部には線維が集中して付着する。筋が全体として働く場合には上腕を外転するが、筋の各部の筋線維はそれぞれ固有の働きをもっている。肩峰からおこる中央部の筋線維は上腕を水平にあげる働きがあり、前部の筋線維は上腕の前方挙上、後部の筋線維は上腕の後方伸展の働きをもっている。三角筋の前縁と大胸筋上縁との間には三角筋胸筋溝とよぶ比較的広い溝があり、この間隙(かんげき)を橈側皮(とうそくひ)静脈という皮下静脈が通っていて深部の腋窩(えきか)静脈に注いでいる。
[嶋井和世]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…なお鼠径靱帯の下方には,大腿動静脈や大腿神経が並んで走り,ここでは大腿動脈の拍動を触れることができる。
【上肢の筋肉】
[三角筋]
肩のふくらみをつくる筋肉で,肩関節の外面のみならず,前面と後面をも覆っている。鎖骨の外側半,肩峰,肩甲棘より起こり,上腕骨の外面にある三角筋粗面に停止する。…
※「三角筋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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