証券取引所に上場された投資信託で、上場株式などと同様に市場で売買される。略称、上場投信またはETF。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX(トピックス))などとの連動を図る指数連動型ETFが代表的な存在であるが、今日では主要業種別、金、東証REIT(リート)(不動産投資信託)指数、海外株価指数などに連動する商品も存在している。従来の契約型投資信託では、ファンドの純資産額を投資家の口数で除した売買基準価額によって取引が執行されていたため、資産価値と取引価格とが基本的に一致していた。しかし、ETFにあっては、市場における需給関係が価格形成に影響を与えるため、両者はかならずしも一致しない。
指数連動型ETFは、相対的に運用コストが低く、信用取引や対象株価指数等との間で裁定取引(価格差を利用して、高いほうを売り、安いほうを買うことにより値鞘(ねざや)を稼ぐ取引)を行うことも可能であり、個人投資家が少額の資金で多様な投資戦略を実践するための道筋を開いている。アメリカで発展した投資信託形態であるが、日本においては、証券市場への個人資金のシフトを促す目的で2001年(平成13)7月に本格導入された。
日本のETFは発足以来、趨勢(すうせい)的な増加傾向をたどり、投資信託協会によると、2018年3月末時点のファンド数は178本、純資産総額は32兆5355億円に達している。ファンド数の拡大は、ファンド間の競争促進や選択肢の拡大という面で投資家にメリットを与える。ただ、指数連動型という商品形態はインデックス・ファンド(指標とする対象株価指数に連動して基準価額が値動きするように運用を行う投資信託)の一種であることから、投資に際してはトラッキング・エラー(目標とする指数との連動性がずれること)の存在や、システマティック・リスク(分散投資では回避できない市場全体のリスク)への対応が求められる。
[高橋 元 2018年8月21日]
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