下垂体後葉ホルモン剤(読み)カスイタイコウヨウホルモンザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「下垂体後葉ホルモン剤」の解説

下垂体後葉ホルモン剤

製品名
《デスモプレシン酢酸塩水和物製剤》
デスモプレシン(協和キリン)
デスモプレシン・スプレー(協和キリン)
ミニリンメルトOD(協和キリン、フェリング・ファーマ)

 中枢性尿崩症にょうほうしょうに用いられます。


 スプレー剤には、尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症に用いるものもあります。


 過敏症状(発疹ほっしん、かゆみなど)、脳浮腫昏睡こんすいけいれんを伴う水中毒、ミニリンメルトODでは、脳浮腫、昏睡倦怠感けんたいかんを伴う水毒症状が現れたときには、使用を中止してすぐ医師に相談してください。


 むくみ、低ナトリウム血症、頭痛、めまい、吐き気嘔吐動悸どうき、のぼせなどが現れることがあります。また、食欲不振、浮腫ふしゅ蛋白たんぱく尿、鼻出血、発熱腹痛などが現れることがあります。


 このような症状が現れたときは、医師に相談してください。


①点鼻剤は、1日1~2回、鼻腔内に点鼻します。水分のとりすぎには注意し、異常を感じたら使用を中止してください。


 スプレー剤で夜尿症用は1日1回就寝前、尿崩症用は1~2回、鼻腔に噴霧します。効果が不十分なときには、2噴霧(両方の鼻腔に1噴霧ずつ)します。


 ミニリンメルトODは、口腔内崩壊錠です。食直後の服用は避けてください。


問診の際に、持病、使用中の薬の有無などを医師に報告してください。とくに、高血圧症を伴う循環器疾患・高度動脈硬化症・冠動脈血栓けっせん症・狭心症、下垂体前葉不全、アレルギー性鼻炎、鼻疾患などのある人は、医師に相談してから用いてください。


 この薬で過敏症状をおこしたことのある人、夜尿症用スプレー剤では低ナトリウム血症、ミニリンメルトODでは低ナトリウム血症、習慣性または心因性多飲症、心不全の既往またはその疑いがあり利尿剤による治療を必要としている人、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、中等度以上の腎障害がある人は使用できません。


 また、昇圧剤三環系抗うつ剤などとの併用には注意してください。


③水毒症状(倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐)が現れたときはすぐに使用を中止して、医師に相談してください。


④この薬を効果的に使うために、就寝前の排尿励行・水分摂取の制限などの生活指導を守ることが大切です。


ほか病院やほかの診療科を受診するときは、この薬を使用中である旨を医師に報告してください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報