下歌(読み)さげうた

精選版 日本国語大辞典 「下歌」の意味・読み・例文・類語

さげ‐うた【下歌】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 上代歌謡の、歌い方による名称一つ。低い調子で歌うもの。⇔上歌(あげうた)
  3. 謡曲で、低い下(した)音階でうたう小段の名。普通、サシのあとにあって、中音から始まって下音(げおん)に終わる短い小段で、拍子に合うもの。⇔上歌
    1. [初出の実例]「先祝言の歌、さし声より、五七五の句六七反云ながして、下うた、かうの物まで十句斗うたふへし」(出典:曲附次第(1423頃))

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改訂新版 世界大百科事典 「下歌」の意味・わかりやすい解説

下歌 (さげうた)

平曲,あるいは能の謡などの楽曲構成部分の名称の一つ。平曲では,上(あげ)歌として節付けされた和歌につづく2番目の和歌の部分をいう。ただし,この1対を〈かみうた・しもうた〉という立場がある。能の下歌は,七五調の詞章平ノリで節付けしたものの一つ。2ないし4句程度の短い謡事で,中音から始まり,多くは中音,下音(げおん)の音域に終始するが,短い上音部分を持つものもある。シテ登場の段で,上歌に前置される下歌の例が多いほか,ロンギに前置されるもの,〈いざいざ○○をなさうよ〉という詞章類型のものなどがある。概して,つぎに続く謡事を引き立たせるように,比較的おだやかに奏演されるが,独立した拍子合の謡事として,すごみやさびしさを強調するものもある。
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