コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

平曲 へいきょく

6件 の用語解説(平曲の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

平曲
へいきょく

平家物語』を平家琵琶を伴奏として語る音曲。『徒然草』によれば後鳥羽天皇の頃,生仏という盲人が語り始めたとされる。その後城方(八坂方。→八坂流),一方(いちかた。→一方流)の 2流に分かれ,一方流中興の祖明石覚一が曲節,詞章を整えた。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

へい‐きょく【平曲】

語り物の一種。琵琶(びわ)の伴奏によって平家物語を語るもの。鎌倉初期、盲人生仏(しょうぶつ)が始めたという。鎌倉末期、一方(いちかた)八坂(やさか)の二流に分かれ、南北朝時代に一方流に明石検校覚一が出て大いに流行した。江戸時代以降、八坂系が衰え、一方系の前田流波多野流が伝えられたが、今日は前田流を伝える人がわずかに残る。平家琵琶。平家。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

平曲【へいきょく】

平家琵琶

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

世界大百科事典 第2版の解説

へいきょく【平曲】

琵琶を弾きながら,《平家物語》の文章を語る語り物音楽。〈平家琵琶〉〈平家〉〈平語(へいご)〉ともいわれたが,最近は〈平曲〉の名称が一般的である。
[歴史]
 起源には諸説あるが,なかでも有力視されているのは《徒然草》の記述で,それによると,後鳥羽院の時代に天台宗座主慈鎮(じちん)(慈円)の扶持を受けていた雅楽の名人,信濃前司行長(しなののぜんじゆきなが)が《平家物語》を作り,生仏(しようぶつ)という東国出身の盲人に教えて語らせたのが初めという。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

へいきょく【平曲】

語り物の一。平家物語を琵琶に合わせ、曲節をつけて語るもの。鎌倉初期、盲人生仏しようぶつが声明しようみようや先行音曲の曲節を集大成して語り始めたという。鎌倉末期、八坂やさか流・一方いちかた流に分かれて伝承され、南北朝期、一方流の明石検校覚一によって大成。平家琵琶。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

平曲
へいきょく

『平家物語』の詞章を琵琶(びわ)の伴奏で弾き語りする語物(かたりもの)の一種。「平家琵琶」「平語(へいご)」ともいう。室町時代まで盲人演奏家によって伝承され、江戸時代以降は晴眼者で演奏する者も現れた。[シルヴァン・ギニアール]

歴史と流派

13世紀初めに雅楽・声明(しょうみょう)・盲僧(もうそう)琵琶の三者を源流として成立。『徒然草(つれづれぐさ)』第226段には、信濃(しなの)前司行長(ゆきなが)と生仏(しょうぶつ)という盲僧の協力で鎌倉時代の初めころつくられたとあるが、その成立をめぐっては多くの異説がある。約100年後の南北朝時代になると、検校(けんぎょう)明石覚一(あかしかくいち)(1300?―71)という名人が現れて詞章・曲節に改良を加え、現行のような形に整えたとされる。「当道」という盲人の位階制度ができたのも覚一のころで、最高位者を検校、のちには最高責任者を総検校と称した。これから室町時代が平曲の最盛期である。江戸時代に入っても幕府の保護を受けていたため、三味線の流行にも駆逐されることなく、とくに徳川家光(いえみつ)は平曲を愛好して、波多野孝一(こういち)検校(?―1651)に京都で波多野流を、前田九一(くいち)検校(?―1685)に江戸で前田流を開かせた。京都でこの両流を学んだ荻野知一(とものいち)検校(1731―1801)は、名古屋に出て『平家正節(まぶし)』(1776成立)という譜本をつくった。数多い晴眼の平曲愛好者のための譜本の集大成ともいうべき優れたもので、今日まで前田流の規範譜である。明治に入ると当道保護の政策が廃止され、京都の波多野流は藤村性禅(せいぜん)(1853―1911)の死によって事実上の断絶をみた。
 一方、前田流は名古屋のほか平曲に熱心であった津軽藩にも伝わり、藩士館山漸之進(たてやまぜんのしん)は1910年(明治43)『平家音楽史』を著した。第二次世界大戦後は、名古屋の井野川幸次、土居崎正富、三品正保の三検校と、仙台の館山甲午(こうご)(漸之進の子)の4人が「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」に選択された。これらの芸筋は廃絶しかかったが、館山の弟子橋本敏江が東京で活躍しているほか、名古屋でもわずかに伝承されている。[シルヴァン・ギニアール]

曲の種類

平曲は『平家物語』の各章を一曲(一句という)として数え、全200曲余、これを伝習制度上、〔1〕平物(ひらもの)(大部分)、〔2〕伝授物(習(ならい)物ともいい33曲)、〔3〕秘事(ひじ)(五曲)に分ける。荻野検校は平曲の習得を次のように定めている。平物50曲をマスターすることが初段で、そのあと伝授物のうち「読物(よみもの)」(13曲)を学ぶ。平物100曲以上を習得した者は、同じ伝授物のうちの「五句物」「炎上物」「揃(そろい)物」(いずれも五曲)などを覚えてから、「灌頂巻(かんじょうのまき)」(「女院(にょういん)御出家」以下の5章)の伝授を受ける。秘事は「小秘事」の二曲(祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)・延喜聖代(えんぎせいだい))と「大秘事」の三曲(宗論(しゅうろん)・剣(けん)の巻・鏡の巻)で、これは総検校にのみ伝授され、一生に三度しか演奏しないほどの秘曲として尊重された。[シルヴァン・ギニアール]

曲節と楽器

平曲の1章(句)は、曲節とよばれる類型的な部分の組合せでつくられている。曲節には「口説(くどき)」「初重(しょじゅう)」「三重(さんじゅう)」「上歌(あげうた)」など約50種あるが、主要なものは11種ほどである。それぞれ音階・音程・リズムが異なり、合戦描写では「拾(ひろい)」の曲節というように詞章の内容などとも関連がある。その詞章や曲節は、平曲以後の能、浄瑠璃(じょうるり)、地歌箏曲(じうたそうきょく)などに多大な影響を与えた。
 平曲に用いる平家琵琶は、雅楽の楽琵琶よりやや小さく、四弦五柱(じゅう)。柱と柱の間を押さえて演奏する。調弦は荻野検校によればA2―C3―E3―A3であったが、現在の平曲ではすこし異なる。撥(ばち)はツゲ製が多く、先の両端はとがっている。琵琶は曲節の前奏や間奏を奏し、詞章とともには弾かれず、琵琶の手は「口説」の前では「口説撥」のように続く曲節によって決定されている。[シルヴァン・ギニアール]
『館山漸之進著『平家音楽史』復刻版(1974・芸林社)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内の平曲の言及

【語り物】より

…ここに文学と音楽との新しい関係が始まる。音楽としての《平家物語》は江戸時代になると平曲と呼ばれるが,これは語る部分である〈語り句〉と歌う部分である〈引き句〉に大別される。そこで,狭義にはこの語り句の部分を語り物といい,広義にはその内容が叙事的で口頭で演唱されるという意味で,《平家物語》の全体を語り物という文学や音楽の種類に分類する。…

【座頭】より

…剃髪した僧体の盲人で,その名の上に〈城〉,あるいは下に〈一〉の字を多く使用し,琵琶を伴奏として《平家物語》や《曾我物語》を語り,ときには早歌や小歌をうたった。こうして平曲(へいきよく)が広く貴賤に愛好された室町時代に,都や地方において公家や武家や社寺の酒席や祭礼の場にはべって,あるいは平曲を語り,あるいは遊吟したりした。また,ときには〈勧進平家〉と称して,多くの聴衆を連日あつめて社寺造営などのために勧進興行を行うなど,中世芸能史上に大きな足跡を残した。…

【当道】より

… 盲人の技芸者は,盲僧として宗教組織に編入されていたが,その中から《平家物語》などの合戦譚を琵琶伴奏で語る僧が出現した。その芸能が〈平曲〉としてとくに武家社会に享受され,室町幕府の庇護を受けるに及んで,平曲を語る芸能僧たちは宗教組織から離脱して自治的な職能集団を結成,宗教組織にとどまっていた盲僧と区別して,みずからを当道と呼称した。覚一(かくいち)検校(1300?‐71)の時代に至って,組織の体系化が行われ,当道に属する盲人を,検校勾当(こうとう),座頭などの官位に分かち,全体を職(しよく)または職検校が統括し,その居所である京都の職屋敷がその統括事務たる座務を行う場所となった。…

【琵琶】より

…たとえば管絃合奏における篳篥(ひちりき)の主要旋律を唱歌(しようが)でうたいながら琵琶のパートを奏したり,催馬楽(さいばら)の曲を伴奏する形態などである。また,宮廷や寺社を背景とする雅楽とは別の世界の民間では,語り物芸能としての平家琵琶(平曲)の伝統が生まれた。(2)盲僧琵琶 さらに雅楽や平曲とは異なる伝統による琵琶楽が宗教音楽としてもすでに奈良時代から行われていたらしい。…

【琵琶法師】より

…散逸した《小右記》には寛和元年(985)7月18日条に,琵琶法師を召して才芸を尽くさしめたことが記されていたといい(《花鳥余情》),《新猿楽記》にも〈琵琶法師之物語〉とあるから,平安時代に叙事詩を語って活躍したことは確かである。鎌倉時代に軍記物語が生まれると彼らは《平家物語》を表芸として語り(平曲),その内容をより豊かにした。《徒然草》には生仏(しようぶつ)を平家語りの祖と記すが,のちに名人の城一の弟子筑紫如一,八坂城玄が2流をたて,如一は一方(いちかた)流を,城玄は八坂流を称して芸を競った。…

【読物】より

…(1)平曲の分類名。書状その他の長い文書を読み上げる部分を重点とした曲。…

※「平曲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

平曲の関連キーワード平家琵琶盲僧琵琶葉室時長琵琶打ち平家盲僧地神経読み弾流す新・平家物語『平家物語』

今日のキーワード

大統領補佐官

各種政策の立案その他に関し,側近として大統領に助言する役職だが,実質上はブレーン,顧問として多面的な役割を担う。憲法で定められた唯一の行政責任者である合衆国大統領は,強大な権力を持つにもかかわらず,議...

続きを読む

コトバンク for iPhone

平曲の関連情報