警察官が、犯罪を予防するため、または犯罪の捜査の端緒を得るために、挙動不審者に対して行う尋問を、第二次世界大戦前においては不審尋問と称した。不審尋問の法的根拠は、明治8年(1875)太政官達(だじょうかんたっし)行政警察規則第3章第24条「怪キ者ヲ見認ルトキハ取糺シテ様子ニ依(よ)リ持区内出張所ニ連行或(あるい)ハ警部ニ密報シ差図ヲ受クヘシ」に求められ、明治憲法下では、この規定に基づき、尋問を受けた者には陳述の義務があるとされるとともに、ある程度強制的に警察署等に連行することも許されると解されていた。しかし、新憲法の制定とともに、不審尋問が許されるかどうか疑問が生じたこと、戦前において不審尋問が乱用される弊害があったことなどの理由から、法律をもって警察官の職務権限を明確にするため警察官職務執行法が制定され、不審尋問は職務質問へと姿を変えることとなった。
[島根 悟]
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