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世帯課税 せたいかぜい

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知恵蔵2015の解説

世帯課税

所得税の課税対象を、稼得者個人ではなく1世帯全体を単位として課税する仕組みのこと。この税額算定は、世帯の所得を合算した総収入額を世帯の人数で割って1人当たりの所得額を計算し、その所得額に税率をかけるなどして1人当たりの課税額を出す。その税額に世帯人数をかけた額が、支払うべき税金となるというもの。
世帯課税の実際の運用では、割る数は世帯の実人数ではなく、人数構成によって決まる。例えば、夫婦をそれぞれ1、第1子を0.5ならば、3人の和である2.5が、この世帯の割る数及びかける数である。世帯課税では、課税対象を現在の個人単位ではなく、世帯を単位にする。これと累進課税制度を組み合わせると、家族の人数が多いほど納入額が低くなるのが特徴だ。このことから少子化対策になるとされている。
世帯課税の例としては、フランスが導入している「N分N乗方式」と呼ばれている課税が代表的。世帯を構成する人数が多いほど割る数Nは大きくなる。世帯当たりの収入が同額ならば、累進課税によって低い税率が適用され納税額は低く抑えられる。フランスでは、19世紀末から出生率の低下が憂慮され、早くから児童手当制度が創設された。更に第2次世界大戦による人口減少に見舞われ、これに歯止めを掛けるべくN分N乗方式が1946年から適用された。一方、日本やイギリスオランダなどでは、扶養家族についての税額控除で負担減免を図っている。控除方式とN分N乗方式の優劣は単純に比較できないものの、フランスの場合には中低所得層における累進課税の傾斜(変化率)が日本よりも急なので、同国のこの層については、N分N乗方式の効果が大きいと考えられる。
2014年3月7日、甘利明経済財政・再生担当大臣は、少子化対策として所得税の課税対象を世帯単位に見直す案を含めた税制改革の議論に着手する方針を明らかにした。麻生太郎副総理・財務・金融相も同じく「検討してみたい」とし「女性の社会進出や働き方、税収構造にどのような影響があるのか広範な検討を行う」と述べた。世帯課税が導入されると、専業主婦の世帯は低い税率が適用されるが、主婦が新たに就労すると高い累進税率が適用されることになる。これでは、成長戦略が目指す女性の就労推進と相反するのではないかという意見もある。この導入は平成27年度税制改正の焦点の一つになると考えられる。

(金谷俊秀  ライター / 2014年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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知恵蔵miniの解説

世帯課税

世帯を所得税の課税単位とする税制。世帯の総所得を世帯人数で割った金額に税率を掛け、さらに世帯人数を掛けて、世帯の課税額を算出する。これまで日本が導入してきた個人を所得税の課税単位とする税制に対し、世帯課税では扶養家族が多いほど世帯の税負担が軽くなるため、少子化対策に有効であるとされる。一方で、世帯課税の場合、世帯収入が同じであれば共働き世帯より専業主婦世帯の税負担が軽くなることから、女性の就業意欲を妨げかねないとの指摘もある。2014年3月、日本の政府・与党が個人単位から世帯単位へと税制の見直しを検討するとの方針を示し、賛否を呼んでいる。

(2014-3-12)

出典|(株)朝日新聞出版発行
(C)Asahi Shimbun Pubications Inc
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