日本大百科全書(ニッポニカ) 「世界観光機関」の意味・わかりやすい解説
世界観光機関
せかいかんこうきかん
World Tourism Organization
多数の国家からなる国際組織。略称UNWTO。前身は1925年にハーグで設立された非政府の公的旅行機関国際同盟(IUOTO)。1970年9月27日にメキシコシティーで開催されたIUOTOの特別総会で採択された、世界観光機関憲章(1975年1月2日発効、日本は1978年7月6日発効)に基づき発足した。本部はマドリード。2003年に国連の専門機関となり、略称もUNを冠してUNWTO(国連世界観光機関)となった。加盟国は160か国(2022年10月時点)。
世界観光機関の目的は、「経済的発展、国際間の理解、平和及び繁栄に寄与するため、並びに人種、性、言語または宗教による差別なく、すべての者のために人権及び基本的自由を普遍的に尊重し遵守することに寄与するため、観光を振興し発展させること」である。同機関は、総会、執行理事会および事務局から構成され、総会は全加盟国からなり、2年に1回開催される。執行理事会は、5加盟国のうち1加盟国の割合で総会が選出し(任期4年であるが2年ごとに半数が改選)、少なくとも1年に2回開催される。事務局は、事務局長(任期4年)と職員からなる。
活動内容としては、観光振興のための国際会議やセミナーの開催、途上国に対する観光事業従事者の育成支援や技術協力、観光の持続的発展と管理運営の促進、観光市場の調査と観光統計の向上などである。なお、1995年(平成7)、アジア太平洋地域の拠点として大阪市にUNWTOアジア太平洋センターが設置された。その後、事務所を移転し奈良市に駐日事務所本部が開設された。2017年には、国連大学本部(東京都渋谷区)にも東京事務所が設置された。
[黒神直純 2022年12月12日]