中山荘園古墳（読み）なかやまそうえんこふん

日本歴史地名大系

中山荘園古墳
なかやまそうえんこふん

• 兵庫県：宝塚市
• 南畑村
• 中山荘園古墳

[現在地名]宝塚市中山荘園

長尾山（ながおやま）丘陵の西部、丘陵から南に延びる尾根端部の標高七六メートル付近にある古墳。昭和五七年（一九八二）に発見、同五八―五九年に調査された。七世紀中頃の築造と推定され県指定史跡。特異な平面形をもつ横穴式石室と墳丘を囲む外護列石が特色。横穴式石室は玄室が長さ約三・四メートル、幅約一・三メートル、高さ約一・三メートルの小型で、天井石は三個、奥壁は一石、側壁は割石積みの一般的な構造。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

国指定史跡ガイド

なかやまそうえんこふん【中山荘園古墳】

兵庫県宝塚市中山荘園にある古墳。宝塚市北方の長尾山丘陵の南斜面に位置し、当時の天皇陵と共通する八角形の墳丘をもち、横口式石槨(せっかく)に近い形態と規模の石室を有している。1983年（昭和58）からの発掘調査の結果、7世紀中ごろに築造されたと推定され、八角形の墳丘の全容が明らかになった。6世紀末から7世紀初頭には、前方後円墳が築造されなくなり、首長層の墳墓はかなり数が少なくなるが、天皇陵をはじめ、その多くは方墳であった。7世紀中ごろの舒明(じょめい)天皇陵から天皇陵は八角墳になると考えられているが、各地に築かれた数少ない首長墳の多くが方墳であるなかで、天皇陵と同じ八角形を示すものはきわめて少ない。その被葬者像を具体的に明らかにすることはむずかしいが、首長墳を築いた被葬者層のなかでも、さらに特別な存在だったと推定され、全体像が明確で保存状況も良好なことから、飛鳥時代の墓制を考えるうえで重要とされ、1999年（平成11）に国の史跡に指定された。阪急電鉄宝塚本線売布(めふ)神社駅から徒歩約10分。

出典　講談社