ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中王国時代」の意味・わかりやすい解説 中王国時代ちゅうおうこくじだいMiddle Kingdom 古代エジプトの第 11~12王朝の時代 (前 2133頃~1786) をさす。前 2040年頃メントゥホテプ2世によって上下エジプトが統一されて中王国時代の基礎を確立。首都はテーベにおかれ,王は墓と葬祭殿をデル・エル・バハリに築いた (→デル・エル・バハリ神殿 ) 。第 11王朝最後の王の大臣アメンエムヘト1世は,第 12王朝を建てメンフィスの南方約 40kmの地ファイユームに遷都した。セソストリス3世は国土統一を完成し,パレスチナに兵を進め,シリアやクレタと交易を行なった。続くアメンエムヘト3世は,ファイユーム地方の治水と開墾により,国家を繁栄に導いた。この王朝の特色は,エジプトに繁栄がよみがえり,美術工芸の黄金時代を築いたこと,民衆が官吏に登用されるなどその力が認められたこと,『シヌヘの物語』『雄弁な農夫の物語』など俗文学が発達したことにある。また棺の周囲に書かれた「コフィン・テキスト」や幾何学,医学などのパピルスも今日に伝えられている。さらに第 12王朝のファラオ (王) の影響はアジア大陸にも強く及び,王名を記したエジプトの物品がシリア諸都市の遺跡から発見されている。またセソストリス3世によるヌビアの征服は,同地の鉱山から出る金をエジプトにもたらした。王たちのピラミッドはリシェト,ハワラ,ラフーン,ダハシュールに残っている。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by