デジタル大辞泉
「裏表」の意味・読み・例文・類語
うら‐うえ〔‐うへ〕【裏▽表】
1 裏と表が入れ替わること。あべこべ。反対。
「其言葉とは―に」〈花袋・生〉
2 裏と表。
「墨のいと黒う、薄く、くだり狭に、(紙ノ)―書き乱りたるを」〈枕・二九四〉
3 前後・左右・上下など相対する物事の両方。あちらこちら。
「ふたりを―に置きてこそなぐさみつるに」〈平家・一二〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
うら‐おもて【裏表】
[1] 〘名〙
① 一般に布、紙など平たい広がりをもったものの表面と裏面。
※弁内侍(1278頃)建長二年一〇月一三日「うらおもて白き御下襲(したがさね)」
※人情本・英対暖語(1838)二「奥の
座敷に伴ひゆき、しばらく裏表に気を配り」
③ 物事の表面にあらわれた部分と内に隠された部分。
※
福翁自伝(1899)〈
福沢諭吉〉雑記「そんな事をして人を苦しめないでも宜
(い)いだらうと裏表
(ウラオモテ)から色々話すと」
④ 表面にあらわれたものと内面にかくされたものとが食い違うこと。かげひなた。うらはら。
※十訓抄(1252)六「うらおもてなく、親をもひかず、疎をも隔てずして、ひとしき思をなす」
⑤ 裏と表ほどかけはなれていること。全然違うこと。正反対。
※玉塵抄(1563)二五「掉挙はとびあがり浮
(うき)すぎた者あり
沈とうらをもてぞ」
※
浄瑠璃・八百屋お七(1731頃か)上「其事は愚僧も聞いていまするが、世間の沙汰とはうら表」
⑥ 裏を表にすること。裏返し。「裏表に着る」
※雑俳・末摘花(1776‐1801)三「裏表二の手柏の坊主客」
[2] 江戸深川の岡場所、裏櫓(やぐら)と表櫓のこと。
うら‐うえ ‥うへ【裏表】
〘名〙 (「うえ」は「おもて」の意)
① 裏と表。布、紙などの両面。
※枕(10C終)二九四「墨のいと黒う、薄く、くだりせばに、うらうへ書き乱りたるを」
② 左右、前後、上下など、相対する物事の両方。両側。また、あちらこちら。
※梁塵秘抄口伝集(12C後)一〇「斑(ぶち)なる馬に乗りて、うらうへに立ちたまひて」
③ 表と裏がいれかわること。うって変わること。あべこべ。反対。うらはら。
※伊勢集(11C後)「うらうへぞおもひやらるる唐衣からにうつりて君が来たれば」
※生(1908)〈田山花袋〉二〇「其時から其言葉とは反対(ウラウヘ)に」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
普及版 字通
「裏表」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報