主要事実間接事実(読み)しゅようじじつかんせつじじつ

改訂新版 世界大百科事典 「主要事実間接事実」の意味・わかりやすい解説

主要事実・間接事実 (しゅようじじつかんせつじじつ)

主要事実とは,民事訴訟では,権利の発生・変更・消滅というような法律効果を規定する法規の構成要件に該当する事実(直接事実ともいう)をさし,刑事訴訟では,公訴の理由の有無を基礎づける事実,換言すれば刑罰権の根拠および範囲を定める事実(犯罪事実ともいう)をさす。

 間接事実とは,いずれの場合にも,主要事実の存否を経験上推認させる事実をいう。徴憑(ちようひよう)ともいう。たとえば,民事の貸金返還請求訴訟では,被告原告から金銭を受け取ったという事実とその際返還の合意をしたという事実が主要事実であり,そのころ被告は金に困っていたとか原告は貸与するため銀行で預金をおろしたという事実は間接事実である。また,たとえば刑事の強盗致傷被告事件では,強盗犯人が人を傷つけたという事実,その違法性・有責性に関する事実が主要事実であり,犯行前日に被告人凶器短刀を買い求めたとか犯行直後に血痕のついたシャツを洗濯したとかの事実または当時別の場所にいたとの事実(アリバイ)は間接事実である。

 刑事訴訟では主要事実のほか間接事実も厳格な証明対象とされるが,民事訴訟では,主要事実と間接事実とで弁論主義適用差異があるから,この概念区別は民事訴訟においてより重要な意味がある。
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