江戸時代から明治にかけて,都市を中心に活動した雑芸人(ぞうげいにん)で,いわゆる乞食の一種とみなされた人々の呼称。身分制度では町人の扱いを受けたが,万歳(まんざい),大黒舞(だいこくまい),節季候(せきぞろ),厄払,猿若(さるわか),辻放下(つじほうか),説経,講釈など,さまざまな雑芸を演じて門付(かどづけ)してまわり,わずかな報酬をえて生計をたてており,〈物もらい〉とも呼ばれた。その先駆形態は室町末期の《三十二番職人歌合》にすでに描かれ,編笠をかぶり,裸身で,手で胸をたたく風情である。その名称は〈胸たたき〉とされているが,これは関西方面でのちのちまでも用いられた呼び名。江戸時代には,江戸でひろまった〈乞胸〉の呼称が一般化したらしい。裸身での行動は江戸時代にはみられなくなり,絹布衣を着て袖乞(そでごい)した者もいた。〈乞胸〉の語義は一定しないが,〈胸(お志)を乞う〉〈合棟(ごうむね)長屋の住人〉の意とする説がある。〈乞胸仁太夫(じんだゆう)〉という乞胸頭(がしら)の支配下で,200文の銭を上納して,鑑札をもらい受けた。
執筆者:横井 清
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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