厄払い(読み)ヤクハライ

デジタル大辞泉の解説

やく‐はらい〔‐はらひ〕【厄払い】

[名](スル)《「やくばらい」とも》
神仏に祈るなどして、身についたけがれを払い落とすこと。厄落とし。
近世の門付け芸で、節分や大晦日(おおみそか)の夜などに、町を歩き、厄年の人の家の門口などで厄払いの祝言を唱えて豆や金銭をもらうもの。また、その人。 冬》
歌舞伎世話狂言せりふで、美文調の縁語掛け詞(ことば)を多用した章句2に似た独特の抑揚で言うもの。連(つら)ねの一種で、幕末に流行。

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大辞林 第三版の解説

やくはらい【厄払い】

( 名 ) スル
〔「やくばらい」とも〕
神仏に祈ったりして災いを取り除いてもらうこと。
門付かどづけの一。近世、節分や大晦日の夜、市中を回り、戸毎に厄払いの祝言などを唱えて銭を乞うもの。 [季] 冬。 《 声よきも頼もし気也- /太祇 》
つらねの一種。世話狂言で用いられる美文調で掛け詞の多い、節よく言い回すせりふ。お嬢吉三の「月も朧おぼろに白魚の…」は代表的な例。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

厄払い
やくはらい

災厄・厄難を払い落とすこと。本来は厄祓(はら)いで、祓(はら)えという呪(じゅ)的行為の一つである。定期的な行事として、あらかじめ厄を払っておくものと、災難や疫病が身に迫ってから、あるいは二度と厄難を受けないために、これを払い落とすものとがある。厄落とし、厄除(よ)け、魔除けなどと似通った点があり、厳密に区別することはむずかしい。その方法としては、まず形代(かたしろ)流しがある。体内の罪、穢(けがれ)、厄を、物に移して流し去るという考え方で、6月と12月の晦日(みそか)に行う大祓(おおはらえ)、三月節供(せっく)の雛(ひな)流し、七夕(たなばた)の眠り流し、厄年の人が身についたものを捨ててくる行為などがある。虫送りなどの鎮送呪術も同類のものである。厄年の行事はほとんどが厄払いで、餅(もち)や豆を投げて災厄を分散し、多人数の力を結集して対抗しようとする。また社寺では厄払いの御札(おふだ)を発行し、職業的な神人(じにん)が年末などにかまどを祓い、また門付(かどづけ)して厄を払って歩く者もある。[井之口章次]

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