雑芸(読み)ぞうげい

  • ざつげい
  • ぞうげい ザフ‥
  • ぞうげい〔ザフ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

伎楽,舞楽などに対し,散楽およびこれと共演する曲芸奇術をも含める種々の芸能の総称。別に平安時代後期以降の歌曲,流行歌謡群の総称。神歌,法文歌,今様,古柳 (こやなぎ) ,田歌,沙羅林 (さらりん) など。遊女傀儡 (くぐつ) などの遊芸人の間に行われた歌謡で,歌詞は古く『雑芸集』に収められていたらしいが伝わらず,『梁塵秘抄』にわずかに残るだけである。

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デジタル大辞泉の解説

古代に行われた雑多な芸能。特に、中国から伝来した散楽(さんがく)系統の曲芸・奇術。雑伎(ざつぎ)。ざつげい。
平安後期から鎌倉時代にかけて流行した歌謡の総称。催馬楽(さいばら)など古典的、貴族的なものに対して、今様(いまよう)沙羅林(さらりん)法文歌神歌など民間から出たもの。「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」などに集録。ざつげい。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

中国では百戯(ひゃくぎ)ともよばれた曲芸的・奇術的な種々伝来芸能の総称。雑伎(ざつぎ)とも散楽(さんがく)百戯ともいわれた。のちには平安時代後期より鎌倉時代にかけて、上下分かたず盛行した今様(いまよう)を中心とする諸歌謡をさすようになった。このような今様諸歌謡を集めたものに後白河(ごしらかわ)法皇(1127―92)撰(せん)の『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』がある。

[高山 茂]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 さまざまな技芸。劇、踊り、曲芸などの雑多な芸能。雑伎。ぞうげい。
※古典と現代文学(1955)〈山本健吉〉詩の自覚の歴史「世阿彌は申楽その他の雑芸を綜合し」 〔南史‐朱昇伝〕
〘名〙
① 種々の技芸。劇・踊り・曲芸・奇術などの雑多な芸能。特に中国から伝来した散楽(さんがく)の中で演じられる奇術・曲芸の類をいうことが多い。雑伎。ざつげい。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
※古今著聞集(1254)九「簾中より管絃の御調度を出されたりければ、則糸竹雑芸の興も有けり」
② 平安末から鎌倉時代にかけて流行したさまざまの歌謡の総称。従来の古典的・貴族的なものに対して、民間から出た今様・長歌・古柳(こやなぎ)・沙羅林・法文歌・神歌・田歌など。広義には猿楽・曲芸などを含めるが、一般には、今様を中心とした雑体(ぞうたい)の歌謡をいう。多く、遊女(あそびめ)や傀儡(くぐつ)の女などによって普及され、「梁塵秘抄」などに集録されている。
※御堂関白記‐寛弘七年(1010)七月二八日「乱声各一度、失歟、可三度也、各三曲、是入夜伋也、雑芸如常」

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

平安後期の今様 (いまよう) を中心とした新興歌謡の総称
もとは散楽と共演の曲芸の意味。民間芸能となったものが再び貴族間に流行した。歌詞は『梁塵秘抄』に残る。鎌倉期以降廃絶。

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世界大百科事典内の雑芸の言及

【大道芸】より


[日本]
 ほとんどすべての芸能は,その発生期においては屋外の大地の上で行われており,むしろ芸能にあっては,長く〈屋外の芸〉もしくは〈大道の芸〉という芸態が当然のことであった。しかし,特に近世以降に人形浄瑠璃,歌舞伎といった舞台芸能が発展すると,〈門付(かどづけ)芸〉〈見世物〉〈物売り(香具師(やし))の芸〉なども広く含めたもろもろの大道の雑芸(ざつげい)は,舞台芸能とははっきり区分けされて意識されるようになった。そしてこの大道芸も,江戸時代を通じてかなり複雑多岐に分化し,最大の繁栄をみせるのであるが,その種類は,節季候(せきぞろ),万歳(まんざい),猿回し春駒(はるこま),獅子舞大黒舞,夷舞(えびすまい),ちょろけん,祭文(さいもん)語り(祭文),説経語り(説経),鉢叩(はちたたき),人形回し,太神楽(だいかぐら),鳥追(とりおい),絵解き八丁鉦(はつちようがね),門談義,辻謡曲,太平記読み,大道講釈,乞食芝居,声色(こわいろ),一人(ひとり)相撲,曲鞠(きよくまり),曲独楽(きよくごま),のぞきからくり,居合抜(いあいぬき)(居合)等々,実に300種以上にものぼるといわれる。…

【今様】より

… 今様の定義は時代や場合によってかなりの異同があり,《梁塵秘抄口伝集》は広義,狭義2種類の使い方をしている。すなわち,宮廷歌謡である神楽歌,催馬楽(さいばら),風俗(ふぞく)と並列して記されている場合は,〈雑芸(ぞうげい)〉とも総称される広義の今様を指し,それをさらに分類して雑芸の一種類として〈ただの今様〉あるいは〈常の今様〉とも称されるのは狭義の今様である。一般に《梁塵秘抄》は広義の今様歌謡集と認められ,現存する部分だけをみても,その形式から次のように分類できる。…

【歌謡】より

…歌詞は七五調4句を基本とする短詩型で,後白河院はことに今様を愛好し560余首からなる《梁塵秘抄(りようじんひしよう)》(1179ころ)を編んでいる。なお今様を含めた当時のさまざまな歌舞音曲は,〈雑芸(ぞうげい)〉〈郢曲(えいきよく)〉とも称されており,その多彩な演目と活況を藤原明衡(あきひら)の《新猿楽記(しんさるがくき)》(11世紀中葉)にみることができる。 中世(12~16世紀)に入ると鎌倉武士を中心に宴席の歌曲として〈宴曲(えんきよく)〉が行われた。…

【日本音楽】より

…また,宮中の祭祀楽も御神楽(みかぐら)として,その形態が整えられ,雅楽の中に含まれるようになった。これらは貴族の音楽であるが,民衆の音楽としては田楽(でんがく),猿楽(さるがく),雑芸(ぞうげい)などが行われた。雑芸の歌謡の中には,貴族の間の流行歌謡ともなった今様(いまよう)も含まれる。…

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