デジタル大辞泉
「雑芸」の意味・読み・例文・類語
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ぞう‐げいザフ‥【雑芸】
- 〘 名詞 〙
- ① 種々の技芸。劇・踊り・曲芸・奇術などの雑多な芸能。特に中国から伝来した散楽(さんがく)の中で演じられる奇術・曲芸の類をいうことが多い。雑伎。ざつげい。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
- [初出の実例]「簾中より管絃の御調度を出されたりければ、則糸竹雑芸の興も有けり」(出典:古今著聞集(1254)九)
- ② 平安末から鎌倉時代にかけて流行したさまざまの歌謡の総称。従来の古典的・貴族的なものに対して、民間から出た今様・長歌・古柳(こやなぎ)・沙羅林・法文歌・神歌・田歌など。広義には猿楽・曲芸などを含めるが、一般には、今様を中心とした雑体(ぞうたい)の歌謡をいう。多く、遊女(あそびめ)や傀儡(くぐつ)の女などによって普及され、「梁塵秘抄」などに集録されている。
- [初出の実例]「乱声各一度、失歟、可レ有二三度一也、各三曲、是入レ夜伋也、雑芸如レ常」(出典:御堂関白記‐寛弘七年(1010)七月二八日)
ざつ‐げい【雑芸】
- 〘 名詞 〙 さまざまな技芸。劇、踊り、曲芸などの雑多な芸能。雑伎。ぞうげい。
- [初出の実例]「世阿彌は申楽その他の雑芸を綜合し」(出典:古典と現代文学(1955)〈山本健吉〉詩の自覚の歴史)
- [その他の文献]〔南史‐朱昇伝〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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雑芸
ぞうげい
中国では百戯(ひゃくぎ)ともよばれた曲芸的・奇術的な種々伝来芸能の総称。雑伎(ざつぎ)とも散楽(さんがく)百戯ともいわれた。のちには平安時代後期より鎌倉時代にかけて、上下分かたず盛行した今様(いまよう)を中心とする諸歌謡をさすようになった。このような今様諸歌謡を集めたものに後白河(ごしらかわ)法皇(1127―92)撰(せん)の『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』がある。
[高山 茂]
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雑芸【ぞうげい】
典雅な芸能に対し,曲芸・軽業・奇術・傀儡(くぐつ)など雑多な卑俗な芸能をさす名称で,中国では百戯ともいった。平安後期からは今様を中心としたさまざまな歌謡をさすようになった。
→関連項目郢曲|寄席
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普及版 字通
「雑芸」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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雑芸
ぞうげい
伎楽,舞楽などに対し,散楽およびこれと共演する曲芸奇術をも含める種々の芸能の総称。別に平安時代後期以降の歌曲,流行歌謡群の総称。神歌,法文歌,今様,古柳 (こやなぎ) ,田歌,沙羅林 (さらりん) など。遊女,傀儡 (くぐつ) などの遊芸人の間に行われた歌謡で,歌詞は古く『雑芸集』に収められていたらしいが伝わらず,『梁塵秘抄』にわずかに残るだけである。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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雑芸
ぞうげい
平安後期の今様 (いまよう) を中心とした新興歌謡の総称
もとは散楽と共演の曲芸の意味。民間芸能となったものが再び貴族間に流行した。歌詞は『梁塵秘抄』に残る。鎌倉期以降廃絶。
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の雑芸の言及
【大道芸】より
…
[日本]
ほとんどすべての芸能は,その発生期においては屋外の大地の上で行われており,むしろ芸能にあっては,長く〈屋外の芸〉もしくは〈大道の芸〉という芸態が当然のことであった。しかし,特に近世以降に人形浄瑠璃,歌舞伎といった舞台芸能が発展すると,〈門付(かどづけ)芸〉〈見世物〉〈物売り(香具師(やし))の芸〉なども広く含めたもろもろの大道の雑芸(ざつげい)は,舞台芸能とははっきり区分けされて意識されるようになった。そしてこの大道芸も,江戸時代を通じてかなり複雑多岐に分化し,最大の繁栄をみせるのであるが,その種類は,[節季候](せきぞろ),[万歳](まんざい),[猿回し],[春駒](はるこま),[獅子舞],[大黒舞],夷舞(えびすまい),ちょろけん,祭文(さいもん)語り([祭文]),説経語り([説経]),[鉢叩](はちたたき),人形回し,[太神楽](だいかぐら),[鳥追](とりおい),[絵解き],[八丁鉦](はつちようがね),門談義,辻謡曲,[太平記読み],大道講釈,乞食芝居,[声色](こわいろ),[一人(ひとり)相撲],曲鞠(きよくまり),曲独楽(きよくごま),[のぞきからくり],居合抜(いあいぬき)([居合])等々,実に300種以上にものぼるといわれる。…
【今様】より
… 今様の定義は時代や場合によってかなりの異同があり,《梁塵秘抄口伝集》は広義,狭義2種類の使い方をしている。すなわち,宮廷歌謡である神楽歌,催馬楽(さいばら),風俗(ふぞく)と並列して記されている場合は,〈雑芸(ぞうげい)〉とも総称される広義の今様を指し,それをさらに分類して雑芸の一種類として〈ただの今様〉あるいは〈常の今様〉とも称されるのは狭義の今様である。一般に《梁塵秘抄》は広義の今様歌謡集と認められ,現存する部分だけをみても,その形式から次のように分類できる。…
【歌謡】より
…歌詞は七五調4句を基本とする短詩型で,後白河院はことに今様を愛好し560余首からなる《[梁塵秘抄](りようじんひしよう)》(1179ころ)を編んでいる。なお今様を含めた当時のさまざまな歌舞音曲は,〈雑芸(ぞうげい)〉〈[郢曲](えいきよく)〉とも称されており,その多彩な演目と活況を藤原明衡(あきひら)の《新猿楽記(しんさるがくき)》(11世紀中葉)にみることができる。 中世(12~16世紀)に入ると鎌倉武士を中心に宴席の歌曲として〈宴曲(えんきよく)〉が行われた。…
【日本音楽】より
…また,宮中の祭祀楽も御神楽(みかぐら)として,その形態が整えられ,雅楽の中に含まれるようになった。これらは貴族の音楽であるが,民衆の音楽としては[田楽](でんがく),[猿楽](さるがく),雑芸(ぞうげい)などが行われた。雑芸の歌謡の中には,貴族の間の流行歌謡ともなった[今様](いまよう)も含まれる。…
※「雑芸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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