歯がねじれたり重なり合って並んだ歯並び,あるいはそれらの歯をさし,歯の叢生の俗称である。ちょうど杙が列を乱して打ち込まれている状態に似ていることに由来する。下あごの前歯や上あごの前歯にみられるときおもに用いられるが,臼歯にもあてはめることがある。原因の第1は,歯の大きさに対して,それらが並ぶあごの大きさが小さすぎることである。第2は,乳歯から永久歯への生えかわりがうまく進まなかったためで,乳歯が長く残りすぎたり,逆に乳歯が虫歯などで早く抜け,永久歯が生える場が正しく与えられなかったことによる。第3には前歯のかみ合せが逆になっていること。第4には過剰歯やその他の原因で永久歯が正しい位置に萌出できなかったなどである。乱杙歯には食べかすや歯垢が付きやすいし,歯石も付きやすい。また食物をかむ力を平等に分担できなかったり,歯が耐えにくい方向から力を受ける。その結果,歯肉や歯槽骨の炎症さらには異常な退縮や吸収を起こしやすい。
執筆者:小野 博志
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