デジタル大辞泉 「乱杭」の意味・読み・例文・類語 らん‐ぐい〔‐ぐひ〕【乱×杭/乱×杙】 1 地上や水底に数多く不規則に打ち込んだくい。昔、それに縄を張り巡らして、通行や敵の攻撃の妨げとした。2 治水・護岸などのために、河岸や海岸の近くに乱立させてある杭。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「乱杭」の意味・読み・例文・類語 らん‐ぐい‥ぐひ【乱杭・乱杙】 〘 名詞 〙① 地上や水底に秩序なく打ち込んだ杭。敵の攻撃を防ぐためにこの杭に縄を張りめぐらして障害物とするもの。乱杭①〈武用弁略〉[初出の実例]「水のそこには乱ぐゐうて大綱はり、さかも木つないでながしかけたり」(出典:平家物語(13C前)九)② 治水・護岸の目的で河岸や海岸の近くに乱立させる杭。[初出の実例]「乱杭か川岸にたつ霜柱〈照念〉」(出典:俳諧・洗濯物(1666)冬)③ 「らんぐいば(乱杭歯)」の略。[初出の実例]「鋳物の滓(えばり)を思はせる口髭の下から乱杭(ラングヒ)金歯(きんば)が現れ、ニコチンの匂と唾液とが飛んだ」(出典:ガトフ・フセグダア(1928)〈岩藤雪夫〉二) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「乱杭」の意味・わかりやすい解説 乱杭 (らんぐい) 木を打ち込んで並べたもので,水利施設としては水勢をそいだり水流をそらせる水刎(みずはね)の一種。城郭の防御施設としては逆茂木(さかもぎ)と同類の,人馬の通行を妨げるものだが,逆茂木と比べて乱雑に打たれたのでこの名が起こったと思われる。また逆茂木が土塁など城内の随所に設けられたのに対して,乱杭の用例は川や堀に限られる。《太平記》に〈瀬二箇所ニ太木ヲ数千本流シ懸テ,大綱ヲハリ,乱グヒヲ打,引懸々々ツナギ〉とあるように,杭列に張綱,懸木,鳴子などを組み合わせて設けられたようである。執筆者:村田 修三 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報