乱髪(読み)ランパツ

デジタル大辞泉 「乱髪」の意味・読み・例文・類語

らん‐ぱつ【乱髪】

乱れた髪。乱れ髪。乱鬢らんびん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「乱髪」の意味・読み・例文・類語

みだれ‐がみ【乱髪】

[1] 〘名〙
① ばらばらになった髪。形のくずれた髪。みだしがみ。みだりがみ。
平治(1220頃か)中「甲をぬいで手にひっさげ、みだれ髪を面にふりかけ」
田楽をいう、女房詞
咄本・軽口ひやう金房(1688‐1704)三「でんがくを、みだれがみといふとかや」
③ 薫物の名。また、伽羅(きゃら)の油の名。
※仮名草子・竹斎(1621‐23)上「漏り来る薫物は、先づ一番に勅作に、〈略〉枕に懸るはみだれがみ」
[2] (みだれ髪) 歌集。与謝野晶子作。明治三四年(一九〇一)刊。同三三年八月から同三四年六月に至る間の三九九首を収録。人間本能を積極的に肯定し、奔放な情熱と浪漫的幻想を豊かな言語を駆使してうたい上げた処女歌集。

らん‐ぱつ【乱髪】

〘名〙 乱れた髪。乱鬢。
史記抄(1477)一四「人部とて人の中でも薬に成物あり。乱髪・人乳汁・頭垢・人牙歯・人屎・人溺・溺白・天霊蓋等なり」 〔後漢書‐曹世叔妻班昭伝〕

みだり‐がみ【乱髪】

〘名〙 =みだれがみ(乱髪)(一)①
浮世草子好色五人女(1686)三「あらはるるまでの乱髪(ミタリカミ)

さみだれ‐がみ【乱髪】

〘名〙 乱れた髪。和歌で多く五月雨にかけていう。
※河内本源氏(1001‐14頃)蛍「あつかはしきにさみたれかみのみたるるをもしらてかき給ふよとて」

みだし‐がみ【乱髪】

〘名〙 =みだれがみ(乱髪)(一)①
※南蛮寺物語(1638頃)「みだしがみほそきてあし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

普及版 字通 「乱髪」の読み・字形・画数・意味

【乱髪】らんぱつ

乱れ髪。〔後漢書列女、曹世叔の妻の伝〕(女誡専心第五)(も)し夫(そ)れ動靜輕聽陝(せんしゆ)し(定まらず)、入りては則ち亂髮壞形、出でては則ち窈窕(えうてう)として態を作(な)す。~此れを心を專らにし、色を正すこと能はずと謂ふ。

字通「乱」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の乱髪の言及

【鬘】より

…さらに長いかもじ(髢)を継ぎ足したものを長髢(ながかもじ)といい,《葵上》の小書〈空ノ祈(くうのいのり)〉などに用いる。また,《玉葛(たまかずら)》や《蟬丸(せみまる)》のシテ逆髪の宮のように鬘の毛を一握りほど分けて前へ垂らしたものを付髪(つけがみ)または乱髪(みだれがみ)という。老女の髪は姥髪(うばがみ)といい,毛髪が白または〈ごましお〉になるだけで,形はふつうの鬘と似ている。…

※「乱髪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android