家庭医学館 「乳房痛と対策」の解説
にゅうぼうつうとたいさく【乳房痛と対策】
月経のある女性の乳房が、月経周期の黄体期(おうたいき)後半から月経期にかけて痛んだり、軽く張ったりすることがあります。この乳房痛は月経前緊張症(げっけいぜんきんちょうしょう)(「月経前緊張症」)の症状の1つで、乳房痛のほかに、精神的な動揺、いらいら、うつなどの精神状態、めまい、ふらつき、頭痛などの自律神経症状、むくみといった症状を合併することが多いものです。ただ、こうした症状は月経が始まると消えます。乳房にしこりができることはありませんが、乳房の外側の広い範囲の乳腺(にゅうせん)が肥厚(ひこう)することがあります。
乳房痛は、卵巣(らんそう)から分泌(ぶんぴつ)されるエストロゲンや黄体ホルモンの作用で、乳腺の細胞が増殖するためにおこるものです。閉経後の女性には、おこりません。
黄体ホルモン剤や男性ホルモン剤の内服が有効ですが、長期の服用はよくありません。利尿薬のほか、乳腺に作用するプロラクチン、ホルモンの分泌を抑える麦角(ばっかく)製剤といった薬剤の内服も、痛みをやわらげるのに効果があります。