月経前3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経が始まるとともに減ったり消えたりするものをいいます。
原因にはさまざまな説がありますが、不明です。考えられている説として、卵巣ステロイドホルモンに対する標的器官(ホルモンの影響を受ける器官)の感受性の差が原因であるとするもの、水分貯留症状や低血糖類似症状からレニン・アンジオテンシン系の異常、耐糖能の異常があるとするもの、セロトニンなどの神経伝達物質の異常分泌があるとするものなどがあります。
症状は月経前に周期的に現れ、身体症状としてはむくみや腹部の
ただし、症状の現れ方には変化があり、月によって程度が異なることも少なくありません。
さまざまな身体的、精神的症状などを記録することにより、現れた時期、周期性などを評価して診断します。排卵周期との関係を検討するために、基礎体温も同時につけておくとよいでしょう。
薬物療法は対症療法、ホルモン療法、向精神薬に分類されます。対症療法としては利尿薬、鎮痛薬などが用いられます。ホルモン療法としては低用量ピルを用いることがあります。向精神薬としては従来マイナートランキライザー(精神安定薬)などが用いられましたが、現在ではSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬。抗うつ薬の一種)が第一選択となっており、
非薬物療法としては、症状を調査して、その成り立ちをよく理解し、食事、運動、リラクゼーションなどにより生活習慣を改善します。
本疾患に当てはまるような症状が月経前に繰り返して現れるようなら、婦人科を受診するのがよいでしょう。できれば、月経の時期と症状が現れた時期をおおまかにでもメモして受診すれば、診断に役立ちます。
大須賀 穣
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…月経前の症状が異常に強い場合で,月経前7~10日から出現し,月経開始とともに消失する。月経前緊張症premenstrual tensionともいわれる。月経前には,一般の健康人でも,月経開始数日前から種々な症状,すなわち軽度の違和感,精神神経過敏,下腹部や腰部の重圧感や不快感がある程度みられるが,日常生活に支障をきたすくらい症状が強い場合は病的で,月経前症候群である。…
※「月経前緊張症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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