乳酒(読み)にゅうしゅ

改訂新版 世界大百科事典 「乳酒」の意味・わかりやすい解説

乳酒 (にゅうしゅ)

家畜の乳を発酵させてつくった酒。乳に含まれる乳糖を酵母で発酵させると,アルコール1%前後の酒ができるが,乳酸菌による乳酸発酵も併行しておこるため酸味を呈する。中央アジア遊牧民族の間で古くから飲まれていた酒で,《隋書突厥伝(ずいしよとつくつでん)》(636)に馬乳酒を飲む風俗が記録され,唐代の詩人杜甫(712-770)も〈山瓶(さんびよう)の乳酒青雲より下る〉とうたっている。カフカス山地のケフィールケフィア)は馬,羊,ヤギ,牛の乳にケフィールグレインと呼ぶある種の植物種子を加えて発酵させたアルコール性乳酸飲料である。クミズは中央ユーラシアのステップの遊牧民の馬乳酒で,馬乳を皮袋などに入れ発酵させてつくる。
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飲み物がわかる辞典 「乳酒」の解説

にゅうしゅ【乳酒】


牛乳、馬乳、羊乳などの家畜の乳からつくる酒。乳に含まれる乳糖が酵母によって発酵し、発酵乳微量のアルコールが生じたもの。発酵時に生じる炭酸ガスによって微発泡性を有することが多い。元来は遊牧民族が乳の保存性を高めるさまざまな加工の一環として、あるいは、栄養価の高い飲料としてつくるもので、日常的に、また子どもも飲む。コーカサス地方のケフィアや中央アジアのクミスなどが知られる。このほか、この発酵乳を蒸留してややアルコール度の高い酒もつくられる。

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普及版 字通 「乳酒」の読み・字形・画数・意味

【乳酒】にゆうしゆ

ねり酒。

字通「乳」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の乳酒の言及

【酒】より

… 醸造酒とは,原料をアルコール発酵させたものをそのまま,または上澄みを汲み,あるいはろ過してつくった酒をいう。酒税法上の種類としては,米,米こうじ(麴),水などを原料として発酵させ,ろ過した清酒,麦芽,ホップ,水を原料として発酵させたビール,果実を原料として発酵させた果実酒類中の果実酒(ブドウ酒,リンゴ酒など)で,清酒の発酵液をろ過せず供する濁酒や麦こうじを原料の一部とする中国の紹興酒や韓国のマッカリ,家畜の乳を発酵させたケフィール,クミスなどの乳酒は雑酒に含まれる。醸造酒 蒸留酒は,醸造酒の発酵液(もろみ),またはそのろ液やろ過残渣(ざんさ)(酒かす)を蒸留したものをいう。…

※「乳酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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