乾湿運動(読み)カンシツウンドウ

デジタル大辞泉 「乾湿運動」の意味・読み・例文・類語

かんしつ‐うんどう【乾湿運動】

植物の死細胞の細胞壁が、外気湿度変化によって膨張収縮する物理的な運動。これにより種子胞子散布移動が起こるものもある。

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精選版 日本国語大辞典 「乾湿運動」の意味・読み・例文・類語

かんしつ‐うんどう【乾湿運動】

  1. 〘 名詞 〙 植物の死細胞の細胞膜が外気の湿度の変化によって膨張したり収縮したりする物理的な運動。種子植物裂果(れっか)袋果(たいか)が湿度の低い時は開き、高くなると閉じるのはその例。吸湿運動。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「乾湿運動」の意味・わかりやすい解説

乾湿運動
かんしつうんどう

死んだ細胞の細胞壁の吸湿または乾燥によっておこる純物理的運動。膨潤運動(ぼうじゅんうんどう)ともいう。莢(さや)や蒴(さく)などの果実が列開する場合とか、スギナ胞子の弾糸(だんし)の運動、野生エンバク種子の芒(のぎ)のねじれ運動などがこれである。吸湿による膨潤や乾燥による収縮の方向は、細胞壁を構成するセルロース・ミセル(セルロースを構成する微結晶粒子)の配列状態で決められる。すなわち、伸縮は各ミセルの軸に対して直角の方向におこる。したがって、たとえばマメ科植物の莢では繊維細胞の細胞壁ミセルは斜めに配列し、外表皮のものは縦に配列しているため、収縮に際してねじれを生じる。

[勝見允行]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「乾湿運動」の意味・わかりやすい解説

乾湿運動
かんしつうんどう
hygroscopic movement

植物組織が水分増減によって動く運動。セルロースからなる細胞壁が,水分を吸収して膨化したり,乾燥して収縮したりすることによって物理的に起こる。マツ球果が開くこと,マメのさやが裂開すること,スギナ胞子胞子嚢(→胞子嚢群)から出ることなどが典型例である。植物体の死後にも生じる。

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