家庭医学館 「乾癬性関節炎」の解説
かんせんせいかんせつえん【乾癬性関節炎 Psoriatic Arthritis】
皮膚病である乾癬(かんせん)に、関節炎を合併するものです。30~50歳代の乾癬をもつ患者さんの5~10%にみられます。
乾癬症として、銀白色の鱗屑(りんせつ)(皮膚のふけのようなもの)をともなう輪郭のはっきりした紅斑(こうはん)が、四肢(しし)、体幹(たいかん)、頭部などにできます。
爪(つめ)にできると、爪が点状にへこんだり、厚くなったり、変形します。
関節炎は徐々に生じ、左右非対称に少数の関節にみられることが多いのですが、対称的に多くの関節に生じたり、仙腸関節(せんちょうかんせつ)に生じるものもあります(約5%、強直性関節炎型(きょうちょくせいかんせつえんがた))。
指では、遠位指節間関節(えんいしせつかんかんせつ)(爪のとなりの関節)に関節炎がおこり、X線像でみると、骨のびらん(表面が破壊された状態)がみられます。
破壊性関節炎(はかいせいかんせつえん)(関節の組織がこわれる)、骨の硬直(こうちょく)、手指の変形、離断性関節炎(りだんせいかんせつえん)(手指の関節の脱臼(だっきゅう)がおこる)などがおこることもあります。皮膚の症状の程度と、関節炎の症状の程度は相関しません。
一般に、関節リウマチ(「関節リウマチ」)と比べると、予後は良好です。
[原因]
原因は明らかではありませんが、乾癬に関連して、免疫の異常、遺伝の影響(組織適合抗原(そしきてきごうこうげん))、環境因子(皮膚からのブドウ球菌感染症)などが考えられています。
[検査と診断]
血液沈降速度(けつえきちんこうそくど)(血沈(けっちん))の亢進(こうしん)、C反応性たんぱく(CRP)は陽性、軽い貧血、血中の尿酸(にょうさん)の増加など、炎症の所見がありますが、リウマトイド因子は陰性のことが多いのです。
乾癬症が確認され、関節炎をおこす他の病気、たとえば関節リウマチや変形性関節症などでないことがわかれば、診断がつきます。
[治療]
非ステロイド抗炎症薬、サラゾスルファピリジン(スルファサラジン)、金製剤、メトトレキサートなどで関節炎を治療します。皮膚症状の改善で関節炎がよくなることもあるため、乾癬の治療も行なわれます。
[日常生活の注意]
皮膚の病変部を清潔にします。また、関節に力のかかるスポーツはひかえます。
予防としては、乾癬がある場合、放置しないで、皮膚科で治すことを心がけましょう。