予防戦争(読み)ヨボウセンソウ(その他表記)preventive war

デジタル大辞泉 「予防戦争」の意味・読み・例文・類語

よぼう‐せんそう〔ヨバウセンサウ〕【予防戦争】

仮想敵国自国を攻撃する前に、あるいは自国よりも強力になって有利な開戦条件を整える前に、これを予防するために先制して起こす戦争

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「予防戦争」の意味・わかりやすい解説

予防戦争
よぼうせんそう
preventive war

隣接国または仮想敵国との間に緊張が高まり、相手国の戦力脅威となる前に破壊したほうが有利と判断した側が、先制攻撃をかけ脅威を排除することをいう。典型的な例として、1967年にイスラエルが周辺のアラブ諸国の戦力増強が脅威であると判断し、なかでも最強の軍事力をもち、イスラエルとの国境兵力を集結させたエジプトに対し先制攻撃をかけ、保有兵力とくに空軍を徹底的に破壊し、その後の戦闘を有利に展開した、いわゆる「六日戦争」(第三次中東戦争)がある。予防戦争は、類似の行為である奇襲攻撃、緊急避難、戦数(戦時非常事由)、自衛権の発動などと法的にも実質的にも区別しがたい。今日の戦争は高度な科学技術の導入によって短期間で雌雄が決せられることが多く、違法な予防戦争に訴える可能性は高くなっている。また核戦力のように秘密が厳守されている場合、単なる推定によって相手側を脅威とみなして予防戦争に出る場合も十分考えられ、第二撃能力(報復力)を保持することでこの種の戦争を防止しようとしているが、本質的には緊張の緩和・解消こそ最大の予防戦争防止手段であろう。

[藤村瞬一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「予防戦争」の意味・わかりやすい解説

予防戦争
よぼうせんそう
preventive war

侵略してくる可能性のある潜在敵国に対し,その戦争遂行能力が自国にとって危険となる前に,機先を制して攻撃し,その侵略の企図未然に阻止するために,進んで行う戦争。元来自国に対して侵略の意図をもっている潜在敵国に対し,その危険から免れるために行うという点で,一見受動的であるが,純軍事的にみると時機的にも戦力的にも,戦争遂行上,自国に最も有利な時と場所と方法を選ぶ点で,大いに積極的であり,侵略戦争一種とする見方もある。予防戦争は,相互に敵意をもつ国々が,単に力のバランスによって外面的な平和を維持しているとき,いずれか一方が相手国の軍事力増強速度をみて,近い将来の危険を感じた場合に起りやすい。最近では 1967年にイスラエルが行なったエジプト奇襲がその一例である。

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