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事業再生ADR じぎょうさいせいえいでぃーあーる

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知恵蔵2015の解説

事業再生ADR

経営危機に至った企業が、民事再生法会社更生法の申し立てによる法的手続きに替え、中立な第三者機関であるADR事業者の手によって、債権者・債務者間の話し合いをもとに自主的な整理手続きによって問題解決を図ること。もしくはその手続きのこと。
過剰債務に陥った企業は、金融機関からの融資について弁済の猶予や債務免除によって再建を図る。ひとたび大企業が倒産すれば、債権の回収は困難を極める。そのため、メインバンクの主導で事業再生のための私的整理の調整を行うことが一般的だった。しかしながら、金融機関にとって債権放棄などは利益に相反するものであり、安易に支援を行うことはできない。
一方、民事再生法などの公的整理を選択した場合には、これらの一部は法的強制力をもって行われる。しかし、経営危機に至った企業側にも不利益な点がある。公的整理では、金融機関への弁済だけでなく、事業継続に不可欠な取引先への支払いも停止する。この結果、仮に過剰債務の整理に成功したとしても、その後の取引には重大な支障をきたし、事業の再建は困難となる。
これらの問題を解決するために、新たに設けられたのが事業再生ADRの制度である。ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、裁判外紛争解決手続きのことで、2007年施行の「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR法)により、法務大臣の認証を受けた民間の事業者がADR事業を営めるようになった。このうち、事業再生に関する紛争を取り扱う事業者としての要件を満たすものは、同年の「産業活力の再生および産業活動の革新に関する特別措置法」の改正により、経済産業大臣の認定を受けて事業再生ADRの業務を行うことができる。
この認定第1号である事業再生実務家協会が、日本航空の事業再生ADR申請を受理したことで、企業再生支援機構の支援決定までに金融機関への支払いを一時停止することができた。事業再生ADRでは、このように債権者に債権回収や担保設定行為の禁止を要請し、債権者会議の招集を行う。また、弁護士公認会計士などから手続き実施者を選定し、債権者会議の合意を経て、債務者の再生計画案についての助言や調査を行い、中立の立場から債務調整をすすめる。なお,事業再生ADRは私的整理の一種ではあるが、民事再生同様に、債権者には債権放棄にかかわる損失の無税償却が認められ、債務者にも債務免除にかかわる免除益に税制上の優遇措置が認められている。

(金谷俊秀  ライター / 2009年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

事業再生ADR

裁判所を通さずに当事者間の話し合いで紛争を解決する「裁判外紛争解決手続き(ADR)」の一つ。手続きとしては「私的整理」に分類される。国の認定を受けた第三者機関が仲介役となる。事業を継続しながら手続きが進められるほか、法的整理に準じた税務上の優遇が受けられる。あおなみ線を運営する名古屋臨海高速鉄道がこの手法で再建を進めている。

(2013-02-08 朝日新聞 朝刊 2経済)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

じぎょうさいせい‐エーディーアール〔ジゲフサイセイ‐〕【事業再生ADR】

《ADRは裁判外紛争解決手続きのこと》経営難の企業を再建する際に用いられる方法の一。経済産業大臣が認定した公正な第三者の関与により、企業と金融機関等の調整を図る。私的整理の一種で、迅速な手続きが可能だが、債務免除に対して税制上の特例が受けられるなど、法的整理に準じたメリットがある。平成19年(2007)の産業活力再生法改正により導入された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

事業再生ADR
じぎょうさいせいえーでぃーあーる

経営の継続が困難となった企業の事業再生を図るにあたり、会社更生法や民事再生法などの法的な手続によって紛争を解決するのではなく、中立的な専門家が関与して、当事者間の話し合いなどで早期解決を目ざすこと。また、その手続。裁判外紛争解決手続(ADR)の一つ。[編集部]

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