五酸化二窒素(読み)ごさんかにちっそ(その他表記)dinitrogen pentoxide

精選版 日本国語大辞典 「五酸化二窒素」の意味・読み・例文・類語

ごさんか‐にちっそゴサンクヮ‥【五酸化二窒素】

  1. 〘 名詞 〙 窒素の最高酸化物。化学式 N2O5 無色の六方晶系結晶吸湿性があり水に溶けると硝酸になる。また常温で分解して二酸化窒素になる。酸化剤に用いられる。無水硝酸。五酸化窒素

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五酸化二窒素」の意味・わかりやすい解説

五酸化二窒素
ごさんかにちっそ
dinitrogen pentoxide

窒素と酸素の化合物。俗称五酸化窒素、無水硝酸。二酸化窒素NO2オゾンで酸化するか、硝酸を五酸化二リンとともに蒸留して得られる。0℃以下暗所で安定な無色の結晶。日光に当てたり、室温に熱するだけで二酸化窒素と酸素に分解する。低温での結晶は硝酸ニトロイルNO2+NO3-イオン格子に相当する。気相および四塩化炭素などの溶液中での構造はO2N-O-NO2である。吸湿性で、水と激しく反応して硝酸となる。硝酸、過塩素酸硫酸、リン酸などの無機酸に溶けジオキシド窒素(1+)陽イオンNO2+を生じる。強い酸化力をもち、ヨウ素を五酸化二ヨウ素に酸化する。酸化剤として用いられる。ベンゼングリセリンセルロースなどをニトロ化する。

[守永健一・中原勝儼]


五酸化二窒素(データノート)
ごさんかにちっそでーたのーと

五酸化二窒素
  N2O5
 式量   108.0
 比重   2.05(測定温度15℃)
 結晶系  斜方
 昇華温度 32.4℃

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化学辞典 第2版 「五酸化二窒素」の解説

五酸化二窒素
ゴサンカニチッソ
dinitrogen pentaoxide

N2O5(108.01).五酸化窒素ともいう.硝酸の無水物に相当し,冷濃硝酸を五酸化リンで脱水するか,NO2のオゾンによる酸化で得られる.無色の潮解性の結晶.融点30 ℃.47 ℃ で分解して二酸化窒素と酸素になる.常温でも徐々に分解する.気体分子は次の構造をもつ.結晶中ではNO2・NO3のようなイオン構造をしている.水に溶けて硝酸となる.硫酸,硝酸中ではNO2とNO3に電離する.強い酸化剤である.ベンゼン,セルロース,グリセリンなどをニトロ化する.[CAS 10102-03-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の五酸化二窒素の言及

【酸化窒素】より

…27℃でNO2:N2O4は20:80(%),100℃で90:10,140℃以上ではほとんど純粋なNO2となる。一酸化窒素を空気で酸化するか,金属硝酸塩を熱すると得られ,また五酸化二窒素N2O5を熱分解しても生成する。二硫化炭素,クロロホルムに可溶。…

※「五酸化二窒素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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