デジタル大辞泉
「人の子」の意味・読み・例文・類語
ひと‐の‐こ【人の子】
1 親から生まれた子としての人。⇔人の親。
2 人として生まれた者。人間。「あの悪人もやはり人の子だった」
3 子孫。
「―は祖の名絶たず大君にまつろふものと」〈万・四〇九四〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ひと【人】 の 子(こ)
- ① 人たるものの子。人倫にのっとった存在としての子。また、人間を、小ささや若さの面から見ていう語。人。⇔人の親。
- [初出の実例]「豈(あに)もあらじ己が身のから人子(ひとのこ)の言も尽さじ我れも依りなむ」(出典:万葉集(8C後)一六・三七九九)
- 「孝ある人の子」(出典:枕草子(10C終)一一九)
- ② 子孫。
- [初出の実例]「人子(ひとのこ)は 祖(おや)の名絶たず 大君に 奉仕(まつろ)ふものと」(出典:万葉集(8C後)一八・四〇九四)
- ③ 他人の子。他人の愛児。
- [初出の実例]「ひとのこにて見んに、羨しくも持たらまほしかるべき子なりや」(出典:栄花物語(1028‐92頃)衣の珠)
- ④ まだ親がかりの娘。また、他人の妻となった女性。
- [初出の実例]「大船の泊つる泊りのたゆたひに物思ひ痩せぬ人能児(ひとノこ)ゆゑに」(出典:万葉集(8C後)二・一二二)
- ⑤ 新約聖書の福音書で、イエス‐キリストが、みずからをさすのに用いた表現。
- [初出の実例]「狐は穴あり天空の鳥は巣あり然ど人の子は枕する所なし」(出典:引照新約全書(1880)馬太伝福音書)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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人の子 (ひとのこ)
Son of Man
元来は単純に〈人間〉の言い換え(《詩篇》8:4など)であったが,後期ユダヤ教の黙示文学では歴史の終末時に審判のため出現する天的存在を指す術語(《ダニエル書》7:13など)となる。これを背景に新約聖書の福音書ではイエスが自己を〈人の子〉として表示する。これがどこまでイエス自身の実際の自己理解を反映するものか論争されている。2世紀以後の古代教会では再び意味が変移し,〈神の子〉イエスが同時に〈真に人間〉であることを表現する呼称となる。
→神の子
執筆者:大貫 隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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