神の子(読み)かみのこ(英語表記)Filius Dei; Son of God

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

神の子
かみのこ
Filius Dei; Son of God

キリスト教の母体である旧約聖書ユダヤ教においてイスラエル民族やから選ばれた王位への即位者が神の特別の恵みの対象として神の子と呼ばれていたが,この伝統に加え,イエス・キリスト自身が神に親しく「父よ」と呼びかけ,またみずからをその子として示したことによって,イエスの弟子たちは救い主として神からつかわされたイエスを特別の意味で神の子と理解するようになった。同時に神の子としてのイエスは神に等しい神的存在であるとする教理的思弁が進み,これとともに神の子は父,子,聖霊の三位一体の神において第二の位格をなすものとして把握された。ここから神の子はイエスと父なる神との親密な一致,キリストの超人間的・神的性質,三位の位格神としての存在などの意味表現を含むイエス・キリストへの呼び名となった。

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世界大百科事典 第2版の解説

かみのこ【神の子 Son of God】

古代オリエントと旧約聖書(《サムエル記》下7:14,《詩篇》2:7)では王を指す尊称。新約聖書ではイエス・キリストに最も多く冠せられる尊称の一つ。イエス自身が実際に自己をそう表示したわけではなく,生前に神を〈父〉(《マルコによる福音書》14:36)と呼びかけた彼の権威を彼の死後の原始キリスト教団が言い表したもの。最終的には《ヨハネによる福音書》冒頭に見るような,〈神の子〉イエスが万物に先立って存在するという〈先在〉の観念にまで発展した。

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大辞林 第三版の解説

かみのこ【神の子】

〔古代オリエントで王の称号〕
新約聖書で、イエスの称号。
父なる神とイエスの特別な関係にあずかることで、キリスト教徒のこと。

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精選版 日本国語大辞典の解説

かみ【神】 の 子(こ)

① (王を天帝の子とする思想から) 国王をいう。
書紀(720)大化元年七月(北野本訓)「天皇の遣す使と、高麗神子(かみノこ)の奉遣(またせる)使と」
② イエス‐キリストの特別の呼び名。
※真理易知(1864)八「いはんや耶蘇(エス)は神の子にしてまた天父と合一(いつ)なれば」
③ キリスト教で、信者、天使、アダムなど、さまざまな場合にいう。
※火の柱(1904)〈木下尚江〉三「神の子らしく、基督の信者らしく謙遜に柔和に、主の栄光を顕はすことです」
④ ユダヤ教で、超人的な存在、また信仰深いイスラエルの民の呼び名ともされる。

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世界大百科事典内の神の子の言及

【インド[国]】より

…正式名称=インドBharat∥India面積=328万7263km2(ジャンムー・カシミール(12万1667km2)を含む)人口(1996。ジャンムー・カシミールを含む)=9億5296万人首都=ニュー・デリーNew Delhi(日本との時差=-3.5時間)主要言語=ヒンディー語(公用語),英語(準公用語),テルグ語,アッサム語,マラーティー語,ベンガル語,タミル語など憲法にあげられている17の地方の公用語通貨=ルピーRupee国名はヒンディー語ではバーラトBharatという。…

【キリスト論】より

…古代教会において激しい論争があったが,その後も絶えずとらえ直されてきたのは,これが神学の根本構造にかかわっているからである。(1)原始教会では,イエスは最初比較的単純にユダヤ教の用語をもって〈キリスト〉(メシア=神によって油注がれて王となった者),〈神の子〉と呼ばれ,また世の終りに再び来て〈神の国〉を完成する者と信じられていた。しかしキリスト教がパレスティナを出てヘレニズム世界に入るとこのキリスト理解に変化が生じ,神秘宗教的にイエスを神的人間と見なし,〈キュリオスkyrios〉(主)と呼ぶようになった。…

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