神の子(読み)かみのこ

精選版 日本国語大辞典 「神の子」の意味・読み・例文・類語

かみ【神】 の 子(こ)

① (王を天帝の子とする思想から) 国王をいう。
書紀(720)大化元年七月(北野本訓)「天皇の遣す使と、高麗神子(かみノこ)奉遣(またせる)使と」
イエスキリストの特別の呼び名。
※真理易知(1864)八「いはんや耶蘇(エス)は神の子にしてまた天父と合一(いつ)なれば」
キリスト教で、信者、天使、アダムなど、さまざまな場合にいう。
※火の柱(1904)〈木下尚江〉三「神の子らしく、基督の信者らしく謙遜に柔和に、主の栄光を顕はすことです」
ユダヤ教で、超人的な存在、また信仰深いイスラエルの民の呼び名ともされる。

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デジタル大辞泉 「神の子」の意味・読み・例文・類語

かみ‐の‐こ【神の子】

新約聖書で、イエス=キリストのこと。
キリストを信じる者。キリスト教徒

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改訂新版 世界大百科事典 「神の子」の意味・わかりやすい解説

神の子 (かみのこ)
Son of God

古代オリエントと旧約聖書(《サムエル記》下7:14,《詩篇》2:7)では王を指す尊称。新約聖書ではイエス・キリストに最も多く冠せられる尊称の一つ。イエス自身が実際に自己をそう表示したわけではなく,生前に神を〈父〉(《マルコによる福音書》14:36)と呼びかけた彼の権威を彼の死後の原始キリスト教団が言い表したもの。最終的には《ヨハネによる福音書》冒頭に見るような,〈神の子〉イエスが万物に先立って存在するという〈先在〉の観念にまで発展した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神の子」の意味・わかりやすい解説

神の子
かみのこ
Filius Dei; Son of God

キリスト教の母体である旧約聖書とユダヤ教においてイスラエル民族や神から選ばれた王位への即位者が神の特別の恵みの対象として神の子と呼ばれていたが,この伝統に加え,イエス・キリスト自身が神に親しく「父よ」と呼びかけ,またみずからをその子として示したことによって,イエスの弟子たちは救い主として神からつかわされたイエスを特別の意味で神の子と理解するようになった。同時に神の子としてのイエスは神に等しい神的存在であるとする教理的思弁が進み,これとともに神の子は父,子,聖霊の三位一体の神において第二の位格をなすものとして把握された。ここから神の子はイエスと父なる神との親密な一致,キリストの超人間的・神的性質,三位の位格神としての存在などの意味表現を含むイエス・キリストへの呼び名となった。

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世界大百科事典(旧版)内の神の子の言及

【インド[国]】より

…正式名称=インドBharat∥India面積=328万7263km2(ジャンムー・カシミール(12万1667km2)を含む)人口(1996。ジャンムー・カシミールを含む)=9億5296万人首都=ニュー・デリーNew Delhi(日本との時差=-3.5時間)主要言語=ヒンディー語(公用語),英語(準公用語),テルグ語,アッサム語,マラーティー語,ベンガル語,タミル語など憲法にあげられている17の地方の公用語通貨=ルピーRupee国名はヒンディー語ではバーラトBharatという。…

【キリスト論】より

…古代教会において激しい論争があったが,その後も絶えずとらえ直されてきたのは,これが神学の根本構造にかかわっているからである。(1)原始教会では,イエスは最初比較的単純にユダヤ教の用語をもって〈キリスト〉(メシア=神によって油注がれて王となった者),〈神の子〉と呼ばれ,また世の終りに再び来て〈神の国〉を完成する者と信じられていた。しかしキリスト教がパレスティナを出てヘレニズム世界に入るとこのキリスト理解に変化が生じ,神秘宗教的にイエスを神的人間と見なし,〈キュリオスkyrios〉(主)と呼ぶようになった。…

※「神の子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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